50話 想像

 二人を助ける。

 そう意気込んだはいいものの、実際何から手を付けていいのか分からない状況だ。


 N2はバラバラに分解され、残っているのは頭部と半分になった胴体、それと真空管のようなパーツが残っているだけ。

 思い返してみると、この真空管部分は重要なパーツである気がしてならない。

 昨夜の襲撃時にN2が破壊され脳内アナウンスが響いた後、このパーツが輝きだして黒い生命体を圧倒した。

 戦闘時に激しく回転していた真空管の中身は今は停止していて、四角い金属が溶液の中で浮いている。

 これはN2が以前言っていた人間における心臓部分なのではないか。

 あれそういえばN2はこの部分だけになったことがあったって言ってたっけ。

 なら、ほうっておいても元に戻るのか?

 いや仮にそうだとしてもどれだけの時間がかかるのか分からない。

 先に俺の寿命が尽きる可能性だってある。

 やれることはやっておこう。


 今までのアクションから推察するに、この四角い金属を再び回転させること、それと最初の脳内アナウンス時に発現した白い腕の輝きを取り戻すこと、それらがN2の修復のカギになっていく……と思いたい。



 ピノに関しては全身が焼け焦げ、高熱で溶けたのか手足とかの細長い部分は半分程の長さになってしまっている。

 痛々しくてまともに見ていられない。

 性質がN2とは違う以上、別の手段を考えていく必要があると思う。

 ヒントとしてはピノには少なからず植物の特徴が引き継がれていることだ。

 焦げた植物を再生する方法なんて聞いたことないが、突破口はそこにある気がする。



 そこまで考えたところで思いつく限りのことは試した。

 N2に見繕った金属片を外から拾ってくっつけてみたり、真空管を握り続けてみたり。

 ピノに雨水をかけたり、土に埋めてみたり。

 他にもいろいろ。

 逆に変なことして余計に壊れたら……という不安があったから乱暴に扱うのは控えたが、成果は特に得られず。


 気が付くと日が落ち始め、外は星の灯りを残して暗くなってしまった。

 蛍のような光を放つ虫(多分)は今日も外を飛んでいた。

 俺の星の蛍は奇麗な水場がないと生息できないので、あの虫たちは蛍とは違う種類のものなのだと思う。


 黒い生命体に溶かされた入り口は勿論そのままだ。

 どんな客が来ようがいつでも入ることが出来る。

 宇宙船の窓から開いたままの入り口は覗けるが、眺めていると誰かが立っていそうなのでなるべく見ないようにしている。

 一人でいるときの不安は皆といたときと比べ物にならない。

 シェルターへの来訪者は考えたくないが、もしそうなったら諦めて快く歓迎してみようと思う。

 ほんとうに考えたくもないが。


 食糧もN2がいれば問題ないと思ってそこまで集めていなかったのがあだとなった。

 図鑑に載っている木の実は見たけど、毒ありと毒なしの区別は実際の実を見ても区別がつかなかった。

 木の実だけじゃなく、葉や根が食べられる植物を明るくなったら探してみようと思う。

 あとはなるだけ避けたいが、昆虫を捕まえて……食べてみること。

 無暗に木の実を食べるよりかは安全だと思うが、それをしてしまうとなんというか尊厳を失ってしまうような気がする……。

 なによりピノにめっちゃ嫌われそう。

 あくまで最終手段として考えておこう。


 二人がいなくなって一日目。

 成果――特になし。

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