想像と創造

49話 孤独

 呆然と、ただ茫然と景色を眺めていた。


 焼ける植物。


 焦げた匂い。


 ボロボロになった二人を握りしめながら、その寂れた世界に身を投じた。



 あれから幾度となく二人に問いかけた。

 

 けれど反応はない。





 何も考えたくない。


 考えると頭痛が起きるし、胸が苦しくなる。


 だってもう二人は……。



 現実逃避と現実直視の繰り返しを何度か試みては無心に帰る。




 そのループをようやく抜けたのは、空が明るみ、降ってくる水滴が顔を濡らした頃だった。

 ぷすぷすと音を鳴らし、雨は燃えた植物を鎮火していく。




 まずい、二人が濡れてしまう。




「船に帰ろう……」




 久しぶりに自分の声を聴いた気がする。


 黒い生命体が爆散してからどれくらい時間がたったのかは分からない。


 ただ何となくそう感じた。




 宇宙船からはまっすぐ進んできた。


 このまま真後ろに振り向き、そのまま進めば宇宙船には辿り着くだろう。




 こんなに濡れながら外を歩いたのは子供の頃以来かな。


 確かあれは友達と喧嘩した日だったっけ。


 理由は忘れたけど。


 傘は持っていたけれど、何だか差すのが面倒でそのまま帰ったんだ。





 足がうまく上がらない。


 疲れた……気怠い。


 何にもしてないのに……。


 そう……俺は何も出来なかったのに。


 何も出来なかった。


 壊されていく二人を眺め、立ち尽くすだけだった。


 いや……俺は何も……しなかったんだ。



 そんな負の感情が胸を締め付け、あろうことか躓くものが何もないところで躓いた。

 更には、おぼつかない脚同士が絡まり地面に倒れこむ。

 倒れこんだ際に、両手ですくうような形で持っている二人は離すまいと肘を強打したが、倒れこんだ衝撃で二人は手から零れていった。




 なんて情けないんだ。




 手から零れた二人の落下と同時に、N2の白い腕から何かがコロンと抜け落ちる。

 抜け落ちた何かはそのまま転がって、金属片の山にぶつかった。


 やばい、大事なパーツだったらどうしよう。


 急いで起き上がり、二人を拾い上げる。

 零れたパーツの方を拾おうと顔をあげた時、何かが転がっていった方向にはミニN2がいた。


 抜け落ちたのはミニN2用のICチップだったのか。

 でも様子がおかしい、ふらふらとしていて何とか立っている状態だ。













「……れ……い…………」






「……がン……バ……れ……」









 そう言うとミニN2は崩れ、元のチップとガラクタの状態に戻ってしまった。


 冷たい雨が体を冷やす。

 聞こえているのはその雨が辺りを打ち付ける音だけ。


 幻聴だったかもしれない。

 いやむしろ幻覚だったかもしれない。

 けれどN2は、いやきっとピノもまだ生きている。


 諦めかけていた自分がいた。

 何もしなかった自分を変えよう。

 何も出来なかった自分を変えよう。



 今度は俺が……こいつらを助ける番だ……!!!

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