童話で学ぼう!ビジネスメールのあれこれ!
ちびまるフォイ
マナーよりも大事なこと
お世話になっております。
春の足音が聞こえてくる今日のこの頃、お元気でお過ごしのことと思われます。
鬼ヶ島はもうそろそろ桜の開花があると伺っています。
桜色に染まった御島が楽しみになっております。
さて、先日もご連絡した件に関しまして、
来る日にはついに桃太郎がそちらにお邪魔させていただくようになっております。
そちらの準備も粛々と進めいただいているものと思います。
つきまして、先日お問い合わせ頂いた内容につきましてご連絡差し上げます。
まず、桃太郎用のジジイとババアですがこちらはすでに手配済みとなっております。
こちらで用意した家畜小屋とも見分けのつかないみすぼらしい家に
指定した日まで居住させ桃太郎を見送るよう準備を進めております。
立地も川に近いところに配置しているため、
件の桃を鬼ヶ島から流しても随時回収し、家に持ち帰れる距離となっております。
こちらは派遣会社じーじ&ばっばーなの社員となっております。
費用に関してはこちらで勉強させていただきますのでご心配いりません。
次に、お供に関しましてもすでに関係各所へ手配済みとなっております。
きびだんご1個で命をかけられる動物などおりませんが、
あのアホの桃太郎のことですからその点につきまして疑われる心配はないと存じます。
先日、鬼ヶ島よりご配送頂いたお供の「イヌ」「サル」「キジ」につきましても
こちらのブリーダーのもと、期日までに調教を進めております。
戦う素振りこそあれ、けして御鬼様に傷をつけることはないのでご安心ください。
また、合わせていただいた「ゾウ」ですが、こちらはちょっと戦力的に大きすぎるため
こちらで一旦預かりという形で当日での採用は見送りとさせていただいております。
大変申し訳ございませんが、ご了承いただければ幸いです。
最後に、鬼ヶ島へのアクセスについて現在担当のものとともに整理を進めております。
鬼ヶ島への舟を偶然を装って波打ち際に配置するために、造船を進めております。
納品後すぐに配備するとともに、それらしい傷もつけて不自然さを払拭いたします。
ろくに常識を知らない桃太郎のことですから疑うことはないと思いますが、
あのアホがどこで感づくかわからないのでこちらも万全を喫したいと思います。
なお、強度に関しても心配ございません。
一度、お供3匹とともにリハーサルを行って浸水しないことを確認しました。
自動航行システムもあるので当日に予約時間に遅れることはございません。
御鬼の皆様は時間どおりに対応いただければと思います。
お忙しいところ、申し訳ございませんが最終確認も兼ねて一度お打ち合わせできますでしょうか。
バカの桃太郎のことですから問題はないと思いますが、
御鬼様からのなにか特記事項などあれば事前に伺いたいと思っております。
その際につきましてはこちらから改めてご説明に伺わせていただきます。
新年度を迎えお忙しい時期と思われますが、どうぞこれからも童話機構をよろしくお願いいたします。
草々
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株式会社:童話機構 モモタロウ担当部
鬼島 謙三
TEL:0202-37564
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桃太郎様
先程お送りした連絡の宛先に誤りがあり、
桃太郎様へ見に覚えのないものが届いたかと思います。
大変申し訳ございません。
すでに中身を確認してしまいましたでしょうか?
まだ確認していなければ、
すぐにそのまま破棄いただきますようよろしくお願いいたします。
これからはしっかり宛先の確認を徹底しこのようなミスがないよう注意いたします。
なので、けして、この前に差し上げた連絡は確認しないようお願いします。
末筆ではございますが、桃太郎様のますますのご健康とご活躍を心からお祈り申し上げております。
PS.鶴の恩返し的な前フリではなく、本当に見ないでくださいね。
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株式会社:童話機構 モモタロウ担当部
鬼島 謙三
TEL:0202-37564
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