黒鉄のファンタジスタ〜ヒーロー不適格者の英雄譚〜

第１話：ヒーローの資格

――あらすじ――

　6月上旬の出来事。

　桜鳳（おうほう）学院高等部に通う、神代アタルは、ある目的のため、国内を非合法に流通する幻想子（ファンタジウム）を集めていた。彼は、いつも通り幻想子集めに出向いたところ、偶然にも、ある少女と出会うことになる。

　彼女の名前は、レイラ・グローフリート。戦後の日本を立て直した巨大財閥の当主の孫であり、どこに行っても目立つ彼女は、アタルと対極的な存在だった。

　そんなレイラと、学校で偶然出会い、訳あって仕方なく行動することになったアタル。

　性格が合わず、不協和音を響かせる彼らの前に、突如、幻想子を用いて、世間を混乱に陥れようと画策する謎の男が現れる。

　意味深な言葉を残して、男はふたりの前から消えるが、不穏な予感は消えない。

　やがて、予感は現実のものとなり、目立ちたくないアタルの願望とは、かけ離れたものとなっていく――