第96話 新・蜘蛛の糸

 やあ、おいらです。


 夢見に死んだ母ちゃんが出て来て、こう言うのさ。

「ぺこり。あんたはヒマ人の肥満ジジイだから、そんな下らない駄文を一日に何回も書いて楽しかろうがね、読まれる方々はお仕事やお勉強に家事育児とたいへんなご苦労をされて、やっとできた休息時間にあんたの本当に下らない文章を眺めて下さっているんだよ。そのお手間を考えたら、一日に何度も何度も駄文を更新するなんて、鬼の所業です。わたしはあんたをそんな風に育てた覚えはありません。あの、元妻が悪かったのかねえ。あれは気ばっかり強くて、あんたを腑抜けにしてしまった。もっとおおらかで、優しいお嫁さんがよかったかねえ……」


 母さん、あなたの仰る通りだよ。お嫁さんが綾瀬はるかや新垣結衣や浜辺美波や芳根京子だったらさあ、養ってもらえるから生活保護受給者にはならなかったと思うよ。

 カクヨムはねえ、悪いけどやめられないよ。ただ、確かに駄文の回数は多いね。もっと小説を書かねば。ねばねばねばーるくんはどこへ行った? ただねえ、やる気とバッテリーが足りないんですよ。『悪の権化』を書きたいんだけど、駄文を書いちゃうともうカラータイマーが点滅してしまう。コンセントつけたまま書きたいんだけど、すぐブチ切れちゃうからさあ。全くAppleさんは気が短いね。外国人だから仕方がないか?


 母ちゃんは良い人だったから天国で楽しんでいると思うけど、おいらは極悪人だから地獄に落ちる。名前はアイタタ。ある日、お釈迦様が地獄を覗くと、アイタタを見つけられた。アイタタは極悪人だったが、一回だけ蜘蛛を助けたので、ハンターチャンスをやることにする。「アイタタよ。蜘蛛の糸を登って来られたら天国に迎え入れよう」

 アイタタは言った。

「おいらの体重じゃ無理です。それに筋力もありません。酷い仕打ちです。お釈迦様の所業とも思えません。オヨヨ」

 泣く、アイタタ。

「仕方がない。救急ヘリを出してやる」

 ヘリコプターが天国から降りてくる。アイタタはレンジャーに救命ベッドへ縛られて上昇する。でも、天国にあるヘリコプターですよ。わかりますよね? アイタタを吊っていた丈夫なロープがプチっと切れて、アイタタは真っ逆さま。全身の骨が折れて寝たきりになりました。

「あれも、痩せておればのう」

 お釈迦様はそう言い残し去って行きました。おわり。


 今日ってさあ、ハルヒの発売日なんですよ。元妻便が遅延をしなければ、夜遅くには届くわけ。

 でも、喜んでばかりはいられない。今日中に、今読んでいる文庫を読了しないと、事前に目標にしていた「ハルヒまでに最低二冊読了」が達成できない。まあ、最終章までは来ているので、読む気になれば読める。でもねえ、わかるでしょ? あんまり読む気がしない。つまらない本じゃないんですよ。面白いよ。でもねえ、活字がなんか小さいんだよなあ、河出文庫。そういえば『黒死館殺人事件』を立ち読みして、活字が小さくて逃げた話をしましたよね。あれも河出文庫だったよ。ただ、ああバラしちゃうと、今読んでいるの泡坂先生の本なの。で、前に河出文庫で泡坂先生の本が復刊されたときには、平気の平左で読めたんだけど、今回は慣れるまですごい辛かったの。いよいよ、おいらも老眼かなあ? ハズキルーペを武井咲に持って来てもらわなきゃならないか? でも、あれ一万ナンボするんだよね。マンボとは言っていません。実父が宝島社から二千円くらいで、ハズキルーペみたいなの売っているよって言っていたけど、おいらさあ宝島社キライなんだよね。生理的に。おいらがトレッサのバカ書店で雑誌をやっていたときに、いわゆる『ブランドムック』が出だしたの。『アナスイ』から始まって『レスポートサック』とか……もう覚えてないわ。それが狂ったように売れてさ、他社も追随して、ファッション誌のコーナーを占拠。一般雑誌が置けないよ。どうしたんだっけかなあ……忘れてしもうた。昔のことでのう。で市が立ったとさ。


 まあ、頑張って、文庫を読み、次に充電完了したら『悪の権化』を書く! と言う気持ちだけは持って、昼寝をしよう。

 では。

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