第75話 また出た
やあ、おいらです。
昨日は亡母の三回忌だったのですが、体調の崩れもなく、ビールなんぞ、二杯も飲んで、千鳥足で帰ったんですよ。なんか次は七回忌だそうで、老人たちが生きているのかとても心配です。一年見ない間に随分と衰えているんですもの。まあ、そういうおいらも一年見ない間に三十キロも肥えてしまったので、別人扱いされましたがね。なんとかしないとな。
さて、元気に部屋に帰りましたが、帰った途端に気持ち悪くなりました。ビールのせいではないようです。治ったはずの喉が痛み出し、咳が止まりません。慌てて、喘息の吸入をしましたが効果はありません。
おいらは気がついてしまいました。この前、不動明王に冥土に送ってもらったやつらの親玉が来たんだと。その日はあまりに気力が出なくて、入れ歯を外すことすら忘れて、寝てしまいました。もちろん、見る夢、見る夢全部悪夢です。
今日になって、このままではいけないと思い、また仏のお力を借りることにしました。でも、不動明王だと力が強すぎて、おいらにまでとばっちりがくる。不動明王もさあ、誰が自分のオーナーかぐらいは覚えておいて欲しいよね。
さて、今回の布陣はワントップに盧舎那仏、彼なら、言葉で相手を納得させて、冥土へ送ってくださるでしょう。その後ろに、瓶の形が気に入って、飲む気は全然ないという焼酎がありまして、その影に不動明王を置きました。飲みたかったら飲んでいいよ。たぶん、口を開けられないと思いますが。そして、枕元には小型の大日如来をおきました。仏教界最強の仏です。
さて、設置した途端に、気分の悪さが消えてきました。体の強張りも消えています。若干頭痛がしますが、いつものことなんで無視。
仏の力ってすごいなあ。だからって、皆さんに金の大日如来を五千万円で買ってとかは言いませんよ。おいらは悪徳商売人でもマジに仏教に帰依しているわけでもありません。ただ、曽祖父まではお寺さんをやっていたそうです。曽祖父の名前は雷音(らいおん)だって。でもそれ以降は漢字一文字で、しかも普通の人は読めないという変なルールがあるので、父方の親戚男子はみんな漢字一文字です。もちろん、おいらの本名はぺこりではありません。ただ、検索すると、あるギャンブルの有名選手が同訓異語でいるので、つまらないです。エゴサーチして見たいのにさ。
しかし、こうなると全ての病気を治す薬を持っている、薬師如来とか、男でも女でもないのに美しい観音とかも欲しくなってしまいますね。でも、それを買ったときは躁病で緊急入院だからやめときます。
では。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます