第32話 花は咲けども……
やあ、おいらです。
ああ、桜のつもりで表題をつけたけど、こいつの場合は山吹だね。失礼失礼。
それはともかく寒いんですよ。花見なんかしたら風邪を引く。花散らしの風邪。ああ、あれは雨か。失礼失礼。
でね、冬の間は静かだった、隣の松本酒店のババアとその娘。春になったらさあ、うるさくってしょうがない。一日中、選挙カーが部屋に横付けされているのと変わらんわ。本当にアッパー系のキチガイはうらやましいよ。自分が愉快ならそれでいいんだから。まさにダイアモン☆ドユカイ。まあ、おいらも八年前はああだったんだからさあ、自業自得の巡り合わせかね。
今日は刻んでいきます。先日、カップ麺食べていたら入れ歯が取れたっていう尾篭な話をしましたよね。それで、今日は少し多めにポリグリップを塗ったんですよ。そしたら今度はハマりすぎちゃって痛いのなんの。どうして、一定にならないかなあと思っていたら……
気がついたら、おいら小田原城にいて、朝飯を食べている。そしたら上座にいた北条氏康が「おい、氏政ではなくてよろしくま・ぺこり。入れ歯にポリグリップを塗るのは毎朝のことだろ? それなのに毎日一定にならないのは思慮が足りないからだ。これでは北条は滅びるな……」と、どっかで聞いたような説教をして嘆息するんですよ。おいらは「すいませんね。どうせ、北条さんはあと二代でぶっつぶれますよ」と悪態をついて、東海道線に乗って帰ってきました。もし、おいらが北条氏政だったら、あの瞬間に「うるせー、ジジイ」って吼えて、氏康をぶった斬ってましたけどね。全く愚か者だわ、北条氏政。
入れ歯接着剤問題に戻りますがよろしいでしょうか? 今、おいらは一年くらいポリグリップを使っているんですが、なんかあんまり相性が良くない。だから、上の歯が四本あったときは、外出時以外は入れ歯をしてなかったんですけど、いま、一本じゃん。なんも噛めないので、毎朝、装着しているの。でさあ、タフグリップっていうのも宣伝してますよね。お口でこけないってね。これにしてみようかな? でも、今度は強すぎて取れないなんてことないかなと不安になる。ええ、言われなくてもわかります。歯医者に行けとね。でも、おいらはあれだし、歯医者恐怖症だし、ケースワーカーに電話するのも恐怖症だしねえ。ええ、どうしようもないジジイですよ。だって、精神は幼児と変わんないんだもん。もし、幼児をいたぶりたい変態さんはおいらをいたぶればいい。強烈に反撃してあの世に送ってやるぜ。この変態野郎!
ああ、おいらはキチガイだけど、変態でなくてよかった。ストーカーにもならなくてよかった。後者の方は何回かなりかけたことがあることを告白いたします。たぶん、気質は持ってるんだろうな。まだまだ、安心はできないな。躁病とストーカー気質が融合したら最凶だよ。たぶん。この世で起きる怨恨殺人の何パーセントかはこれなんじゃないの。おいら、しっかりお薬飲んで、気をつけるよ。みなさん、個人情報にはご注意くださいね。
では。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます