第9話 沈みゆく資本主義という船
資本主義が上手く機能しなくなっていることに気づいている人は多いと思います。格差社会に少子化、年金破綻など、我々の将来は風前の灯と言えるでしょう。そうした状況を作り出しているのは資本主義なのです。
今日の豊かな環境を築いたという輝かしい功績を持っている資本主義がそんなことを引き起こすはずがないと思いたいのではないでしょうが。それは、資本主義に代わるモノが考えられないから、いや、変えることで何かを失うことを恐れるからなのかもしれません。
資本主義というのは超巨大な船に例えることが出来ると思います。
大海を進むには安心できる船でしょう。しかし、乗船者たちに自由はなく、進方向を自分たちで決めることは出来ません。進む方向は船長に任せるしかないのです。
そうやって航海をしてきた超巨大な資本主義という船は、人々に安心と豊かな環境を提供してきましたが、自由は制限されてきました。しかし、そういう豊かな環境によって乗船者たちは我がままになり、自由を欲する人が増えたことで、この巨大な船は不安定になってきたのです。
まあ、それでも船長たちは自分たちは優秀な船長であり、自分たちの言う通りにしておけば間違いないと豪語して乗船者たちの要望を無視してきました。そうなると、乗船者たちは勝手に船を降りたりするようになり、超巨大な船は不安定になってきたのです。
大きな船は安定しているときは良いのですが、一度不安定になるとそれを戻すことは容易ではない。ちょっとした不安定が船の沈没を招くこともあるのです。
その結果、資本主義という巨大な船は沈没を始めます。それでも多くの乗船者たちは、船長の言うことを信じるしかないのです。本来、船長とは、その船と運命を共にするものであり、その覚悟が出来ているのです。
しかし、私たち乗船者は、資本主義という船と運命を共にする気はありません。別の船に乗り換え先へ進まなければならないし、先に進むために資本主義という巨大な船に乗ったに過ぎないのです。
従って、新しい船は乗船者たちが作る以外にないのです!
残念ながら、これまで船長の言う通りにしてきた乗船者たちに、それを作る発想も能力もない。これが巨大な船に乗る人たちの最大の欠点と言えるでしょう。
小さい船であったら、頻繁に沈没もするので作り変えることも当たり前となっており、船の沈没は怖いことではないのですが・・・・
大事なのは、巨大な船が沈没したから更に巨大な船を作ろう難しいことを考えることではなく、自分たちが作れる小さな船を作れば良いのではないかと思います。
そうすれば、巨大な船ほどの安心感はありませんし、大海原を進むことも出来ませんが、自分たちが生きたい方向に進めるし、沈没してもすぐ作り直せるので怖くなくなるのです。
もし、大海原へ進みたければ、そういう小さな船を集めて大船団を構成すれば生きるのではないでしょうか?
全ては自分たちが何を大事にするかで決まると思います。そして、その大事にするモノの為に頑張ることは楽しいのではないのでしょうか?
資本主義という巨大な船が沈んだ後にやってくるのは、悲惨な未来ではなく、そうした楽しい未来だと私は思います。
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