第3話 幸せについて
私たち人間は何のために生きているのか?と聞かれたら、それは間違いくなく幸せになるためにであると思います。しかしながら、幸せについて習うことはありません。それは、学校教育のカリキュラムにないからです。
しかし何故、最も大事な幸せについてのカリキュラムが用意されていないのでしょう。私が還暦を超えて考えるに、よく言えば、それはとても教えることが難しいことだからだと思うのです。
悪く言えばもありますが、ここでは割愛しておきます。
何故、難しいかと言えば、人それぞれだからなのだと思います。人はみな違うということは当たり前のことであり誰でも知っていると思うのですが、意外にも現実はそうではないかと思います。
何故なら、幸せの押し付けが起こるから。何故、それが起こるかと言えば、本当の幸せが何なのかを分からないからに他ならないのです。
折角、幸せが教えることの出来ない難しいことで学校では教えないことなのに。幸せを教えようとする人が後を絶たないわけです。非常に厄介な現象かもしれません。
まあ、それほど人は幸せを求めているという証かもしれないのですが。
そこで、還暦にしてそれを知る一人の人間として、教えられない幸せと教えたいと思うわけです。何を教えるかって?教えられないことを教えるのです。
幸せが教えられない最大の理由は、目に見えないからだと思います。それは、心が感じる感情によって得られるものだから。そして、人が持つ心、きっと、生物界で唯一人だけが持つモノは、人の数だけ違うわけです。
どう違うかを証明することは不可能ですが、人が取る行動の違いによって知ることは出来るわけです。例えば、怒ったり笑ったり泣いたりする状況の違いによって。
同じ喜怒哀楽という心がもたらす感情ではありますが、そのもたらす状況は各々違うわけです。従って、状況から手繰っていくと違う答えになるということです。だから、教えることが出来ないのです。
しかしながら、そうした様々な感情からもたらされる幸せは一体どういうモノなのか?ということは教えることが出来ると思います。例えば、満足感や充実感という感情を私たちは頻繁に感じることが出来るのではないでしょうか。
きっと、そうした快適な感情が幸せへの扉であると思う人は多いと思います。しかし、別の面で考えると、悲しみとか怒りとか辛さという感情も一方ではあるわけで、そうした不快な感情を脱することで幸せを感じることも事実であると思います。
しかしながら、実際に幸せという感情はないのです。何故なら、喜怒哀楽に代表される感情は全て一過性のものだからです。快適な感情と不快な感情は永遠に続くものではないと思います。
幸せというモノは心が得られるものではありますが、基本的な感情ではない。そうした感情から得られる副産物のようなものではないかと思うのです。
従って、一度幸せを手にすると永遠に手放すことはないモノが本当の幸せであり、何か状況の変化によって得られたり失ったりするものは単なる感情に過ぎないのではないかと思うのです。
それは、そう思うのではなくそうなのです。自分がそうであるからそうだと断言しているわけです。一度手にした幸せは死ぬまで離れません。もし、そうでなければ、それは快適な感情に過ぎないのです。
きっと、学校で幸せを教えることが出来ないのは、カリキュラムを組む人が幸せを知らないからだと私は考えるわけです。だって、もし知っていたら、そのポジションにはいないから・・・・
幸せの厄介なのは、無欲になることです。ただ、他人を幸せにしてあげたいと思う欲は残ります。
別にだからと言って押し付ける気は毛頭ありません。ただ、自分で見出すべき幸せのヒントになればと考えています。幸せは自分を思い込ませることで無理やり作ることは可能です。
しかし、恐らくそこには多くの欲が働いており、ある意味、辛い幸せとなっていると思うのです。それは快適な状況から外れることで不快な感情に支配されたときに分かると思います。
まあ、分かりやすく言えば、好調な時の友達と同じです。そういう友達は不遇になると離れていくでしょう。ある意味、人生どん底で出来る友達が真の友と言われると思いますが。
簡単にひちことで言ってしまうと、
人生どん底でも得られる幸せが本物であるということです。ある意味、どん底を嫌う人は多いですが、どん底で見る景色こそが真実の世界であり、そこにあるモノが本物であるという悲しい現実があるのだと思います。
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