桜舞(さくらまい)
さあや
第1話
さとこは笑わない娘だ
桜舞さくらまい
櫻
櫻
ちん とん しゃん
櫻
「さとはん、いつもそんなお顔していては、艶もではらしまへんえ…」
京弁の女将が言った
さとこの桜舞は、まるで 千本の桜の花が散るがごとくに 壮麗な空気を醸し出す
女将はわかっていなかった
「女将さん
お世話になりました
私はもう女将さんに
舞でご恩返しをすることのできぬ歳となりました
この桜舞、よろしかったら皆さんで舞ってくださいね」
さとこは
全身全霊 気持ちを込めて幼い頃から お師匠となった女将さんに 一から十までお稽古をいただいた
御霊みたまの 結集を踊りきると
最後に、十七年間、することのなかった笑みを浮かべて 三つ指をついて、女将に 頭を下げた。
さとこは小さな荷物を抱えて、外へ出た。
桜の花びらの舞う 十七才の春
さとこは
桜の乱舞に祝福を受けて
自由を噛み締めていた…
驚いて慌ふためいてるばかりの女将たちの姿が遠ざかっていった
白い桜の着物を脱ぎ捨てて
さとこは笑わない娘だ
桜舞さくらまい
櫻
櫻
ちん とん しゃん
櫻
「さとはん、いつもそんなお顔していては、艶もではらしまへんえ…」
京弁の女将が言った
さとこの桜舞は、まるで 千本の桜の花が散るがごとくに 壮麗な空気を醸し出す
女将はわかっていなかった
「女将さん
お世話になりました
私はもう女将さんに
舞でご恩返しをすることのできぬ歳となりました
この桜舞、よろしかったら皆さんで舞ってくださいね」
さとこは
全身全霊 気持ちを込めて幼い頃から お師匠となった女将さんに 一から十までお稽古をいただいた
御霊みたまの 結集を踊りきると
最後に、十七年間、することのなかった笑みを浮かべて 三つ指をついて、女将に 頭を下げた。
さとこは小さな荷物を抱えて、外へ出た。
桜の花びらの舞う 十七才の春
さとこは
桜の乱舞に祝福を受けて
自由を噛み締めていた…
驚いて慌ふためいてるばかりの女将たちの姿が遠ざかっていった
白い桜の着物を脱ぎ捨てて
~桜舞 ① おわり~

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