congratulations‼︎
@balsamicos
congratulations‼︎
「ふっ、勇者よ…ついにワシを破ったか…!」
「どうだ、魔王!これで私たち人類の勝利だ!」
「…フッ、フッフッフッ…ハァーハッハッハ!」
「な、なんだ!何がおかしい!」
「いや、お前もやはりただの人形なんだと思ってな…」
「ど、どうゆうことだ!何が言いたい!」
「ハッハッハ、お前は自身や周りの行動に何の疑問も抱かなかったのか?」
「例えばだ、何故、魔物を倒すとお金が手に入るんだ」
「そ、それは…、そう!魔物に困ってる村の人達からの謝礼だ!」
「その謝礼を何故魔物が持ってる」
「そ、それは…」
「他にもあるぞ、何故、村人は同じ言葉しか繰り返さない」
「それは俺らにとって重要なことを教えるためだ!」
「まあ、たしかにお前らにとって必要なことを助言してくれるな…、しかしそれにしても話すこと言葉が単調すぎやしないか?」
「…そ、そうゆう人たちなんだ」
「まあ、お前たちがそう思ってるならそれでいい」
「それならこうゆうのはどうだ、何故村人は名前を持たない」
「いや、アルゴ村にはエリーや、リゼット達がいるぞ」
「いや、お前たちに深く関わっていない者達だ、村人や、青年、少女、老婆、鍛冶師、兵士…彼らには何故名前がない」
「それは…俺が聞いてないから…」
「聞く努力はしたのか?村の子供たちはまだしも鍛冶師なんかはよく顔を合わせるだろうに…」
「そ、そうゆう間柄じゃなかったんだ…」
「お前も少しは疑問を覚えたようだな」
「では次の質問をする、勇者、お前は戦士、僧侶、魔術師と旅をしているな」
「それがどうした!カイゼル、ホリー、レイチェル!ちゃんと名前はあるぞ!」
「今も後ろでおとなしくしているが、彼らと旅の間話をしたことはあるのか?そしてお前らは日頃何を食べている」
「お、俺らは心で繋がってるんだ!今更言葉など要らない!」
「食べ物は…そ、そう!宿でとっている!何を食べたかは忘れたが…」
「そうか、そうか、言い訳も苦しくなってきたな」
「べ、別に言い訳なんかじゃ…」
「あぁ、いい無理するな無理するな、どうせじきに終わるさ」
「さて、残す時間3分くらいだろう…、次の質問だ」
「嫌な質問ばかりでムカムカする」
「すまないな許してくれ、ワシは配下たちと一度も顔を合わせたことがないのでな、誰かと話すことに飢えていたんだ、まぁもっとも配下達も特に話せなかっただろうが…」
「さて、そろそろ本題に入ろうか、お前もいい加減気付いているだろうがな」
「な、何をだ」
「この世界を創り出した神についてだ」
「この世界の…神…?」
「そうだ、この世界には、創造神アストラルの他にもっと上の存在がいる」
「なっ!そ、そんなデマかせ許されると思うな!」
「落ち着け、アストラルの事を擁護しているが、ワシがこんな話を持ちかけても姿すら現さないアストラルなんぞ空想の存在に過ぎない」
「こ、こんのっ…!」
「そんなに怒りをあらわにしてもお前はワシに剣の一つも突き立てない、それが何故だがわかるか?」
「うっ…そ、それは」
「それはな、勇者よ、お前も造られた存在だからだ」
「人形だ、この世界は人形だらけの世界なんだ、いわばおままごとの一種だ」
「そんな、そ、そんなことって…」
「ならばお前に幼少期はあるのか?」
「………」
「そうだ、ないんだ。この世界はご都合のみで創られているんだ。アストラルより上の住人がそう創ったんだ。だっておかしいじゃないか、お前の住む村の周辺ばかり弱い魔物が集まり、武器もしょぼく、もらえるお金も少ない」
「お前のレベルに合うような世界になっている」
「そんな…どうして…」
「それは、お前が順調にワシを追い詰め、倒せるようにこの世界が創られているからだ」
「そして、見事、お前はワシを打ち破ったのだ、名も知らない神の思惑通りな」
「魔王!貴様に何がわかる!」
「何でもわかるさ、このあと何があるかもな…なんせワシはこの冒険の最後を締めくくるゴールなのだからな」
「こ、この後いったい何があるんだ!」
「まあ、ワシはもう消える…もう間も無く終わる…」
「フフ…直接みた…方が…いい…だろ…う…」
「お、おい待て!話は終わってないぞ!」
「な…に…さい…ごに…はな…て…たのし…た…ぞ」
「お、おい!」
魔王は俺たちを置いて姿を消した。後ろを振り返るが仲間達は虚ろな目でこちらを見るばかりで何も言わない。
すると周りが徐々に黒で覆われていき、全てが黒で塗りつぶされた。
視界の下から見たこともない白い文字の羅列が続く。
背後から壮大な音楽が流れてくる。
見たことない文字が少なくなる。
そして最後に「congratulations‼︎」という文字。
そこで俺の意識は途切れた。
congratulations‼︎ @balsamicos
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます