Two Everyday Life

めび

3月

つぼみははじける

『桜も満開になりました。この公園でも、花見客でいっぱいですね。』

テレビから、春の便りが届く。しかし、それを見ている彼女は首をひねっている。

「うーん・・・。」

「何してるんだ?」

彼がそんな彼女を見て、後ろから声をかける。

「いやね、桜って何かに似てるなーって。何だろう。」

テレビに映る桜を見ながら、考え事を続けている彼女。

「桜ねぇ・・・。」

彼は、テレビに映る桜を見る。桜は、色鮮やかに咲き揃っていて、実際に見てみたくなる衝動に駆られる。

「温まると、蕾が開いて、薄いピンクの花が咲いて、一杯になったら一気に散っていく・・・。」

そう呟いて、彼女の顔が変わる。何かに気付いたようだ。

「判った!これよ!!」

突然彼女は台所に向かう。そして、袋に入った白いものを持ってきた。

「これこれ!」

「それって、ポップコーンか?」

大きな袋に入った、ポップコーンを手に、彼女はテレビの前に座り込む。

「そう、はじけて、白い花が咲いて、一杯になって、私が食べる!」

「最後の食べるというのが、よくわからんが。桜がポップコーンか・・・お前らしいな。」

テレビは相変わらず満開の桜を映し出している。なるほど、蕾から白い花が一気にはじければ、そう思えるの頷ける。

「今度、花見に行くか。」

俺の提案に、ポップコーンの袋を開けていた彼女は首を大きく縦に振った。

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