どうなったとしても

逃げられない、そんな感じがした

ーー閉ざされた世界にそこに今いる感覚、だからなんだ


だが、それでも仲間たちは全員、狂ってなどいない精神に異常をきたしていない


そう、、普通ならあり得ない、これは幸運といっていいなぜなら

この状況下で、精神に異常をきたさないのは普通ないからだ


だって、どこから人形を現れたーー見られている、観察されている


視線を感じるーどこにいても、この屋敷にいる限り視線を感じる

人形が現れて以来ーこの部屋は何かがおかしい


居間、テーブルの上に置かれているだるまのめがきょろキョロと動いている

中には、爆弾

時計ー時間を刻むそれが、なぜか逆に進み続けている


しかも、高速でじゃあなくて、ゆっくりと本来の時計の速さですべて同一に

時計は、デジタル時計ではない


すべてアナログ時計ーー、既知にはわかっていたことだが、近くの海にはサメがいる

女主人(ミストレス)が放し飼いにしていたのだ


海には逃げ込めないー、電話のコードも着られている、テレビの電波を届ける装置も同じく


ーしかし、揺るがない

爆弾は海に放り込むーー女子トイレの床に、壁にヘブライ語で呪いの文字が書かれてる

だが、そんなものに意味はないー意味があるのは、個室のトイレに書かれた


これ「おんくろだのう、うんじゃく、そわか」ー仏教の真言(呪文、マントラ)が切り刻まれている


おそらく昔、この力で守ってもらっていたのだろうがーそれを捨てたのだろう


そして、台所の上にある「ひのかぐずち」の神の呪符


防火用の、一般家庭にある呪符だ、今を抜けー誰もいない、部屋


そこに、お地蔵様の石像(ミニチュアサイズ)とお地蔵様用の、コップと、御飯

茶碗


ーやはり、西洋風は見掛け倒しか


中庭を歩いてみる、記憶と同じーーなら、噴水の中に仕掛けがある

そうーひらぐも


ひらぐも、とは水面を歩くための道具だ

ぶっちゃけ、-海を上を歩けても意味がない(さめいるし、さめいるならひらぐもあっても、意味がなさそう)


だが――記憶に間違いがない


並行世界の記憶だが通用する―それが完全に証明された

ということは、だ、ということは

もしかしたら、反撃ののろしがあげられるかもしれない

いや、のろしがどうこう言う前にまずは――日々の生活だったわ


日々の生活をどうにかしないと、ちょっと考えてー「未知」を連れてくる

「未知」つまりー並行世界の自分

「あの、どうしたんですかうちの前で」

「未知」はまだ幼いー当然だ、学校で暮らして寮母になるまでの間

がまだない

「大丈夫、大丈夫よ、「未知」ちゃん」

なでなで、頭なでなでー目線を合わせる

「うん、わかったお姉さんーでも似てるね」

「え」

一瞬驚く、この子は何を言ってるのだろうかと思う

少しの間黙る

「私とお姉さん」

涙がこぼれる

「、、ど、どうしたのお姉さんーきついの―苦しいの―ねえおなかでも痛い、足でも打った、くびをひねった

ねえ、どうしたの、どうしたのお姉さん」

ゆさ、ゆさ、ゆさっと揺さぶられる

「大丈夫―私みたいになっちゃだめよ、みちちゃんーあなたは過去に縛られなくていい、おねえさんとやくそくしましょ」

「やだ、、、お姉さん笑って」

にこりと涙目で笑う―満足したのか笑顔を見せる

「指切げんまん、嘘ついたらハリセンボンのーます、指伐った、しんだらごめん」

そういって、指切げんまんをして、あるお願いをしたーーー


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