第4話  おかたづけのジレンマ①

おかたづけ、それは子供にとっても大人にとっても


すごく難しい問題である


俺はこれに最後までずっと苦しめられたが、結局結論は出せないままだった


まず、子供たちにとっておもちゃで遊ぶことは楽しいことである


しかし、その終わりにはおかたづけという苦痛の時間が待っている


だから、自然とかたづけずを逃げたがるのである


まるで、我々人間が生きるために食べる、すなわち他の生物の命を奪っている


という業から目を逸らしているかのように


結果何が起こるのかと言うと部屋が散らかるのである


それもむちゃくちゃに


多分一人のお子さんを持っているご家庭でもおもちゃの散乱は悩みの種だろう


それが何十人も集まっていっぺんに散らかすのだ。


そうまるで地獄のように


一方、遊ばせる側の保育士の方にもジレンマがある


子供に無理やり片付けさせるのかどうかや、


そもそも散らからないようなおもちゃを出すべきなのかどうか


といったジレンマである。


これに、お迎えが早い子は片づけなくていい問題や


一番最後まで残っている子が全部片づけるのか問題が上乗せされる


実際、いつも最後までお迎え来ない、ちょっとかわいそうな女の子に


「なんでいつも私がこんなにたくさんのおもちゃ片づけないといけないの?」


と問われて、答えに詰まった覚えがある


子供は思ったよりも聡いものである


そうった迷いがあるもんだから、俺はついついかたづけを手伝っちゃって


他の先生方に「甘い」「子供にやらせないとかたづける習慣がつかない」


といって叱られたものだった


上手い先生が言うと子供もテキパキ動いてかたづけてくれるのだが


俺は不器用だったから全然ダメでめちゃくちゃ苦しめられたよ


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