第5話昔の話だってよ

こんなわたしでも、好きな人の一人や二人はいた。いや、二人はいなかったが。


最近だと、2年位前だ。


残念ながら、実らず終わってしまったんだけど、後にも先にも、あんなにときめいたのはあの時だけだ。


相手は職場の別部署の人で、挨拶程度しかしたことがなかったが、送別会の二次会で偶然隣の席になったことがきっかけで、話した。


普段、人見知るわたしだが、珍しく緊張せずに話せた。

そして、隣にいると不思議と安心感に包まれて、いつもの自分でいられた。


そんな感覚が初めてで、それからその人のことが気になってしまった。


中学生か!とツッコミを貰いそうだが、すれ違って挨拶ができるだけで嬉しかったし、

ちょっとでも会話ができると一日中ハッピーだった。


友人達も恋愛とは縁遠かったわたしが、

気になる人ができたと言うだけで、

驚いていたし、喜んでくれた。


しかし、恋愛に対して奥手であり過ぎるがゆえに、ある時、連絡先を聞くチャンスが訪れたにも拘らず、わたしはそのチャンスを自ら手放したのである。


今思い出してもバカだと思う。


そのチャンスを逃した後、社内での配置替えや、わたしの昇格等もあり、挨拶すらできない状態になった。


その数ヶ月後、その人が実家に戻る為、会社を辞めたことを知る。


もう少し勇気があれば、何か変わっていたのだろうか。


今となっては知る余地もないけれど…

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