2025 ここからが本番

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「お嬢さん方、俺たちの船は近づけませんので、確かお嬢さん方は飛べますよね?」


 船は、海岸から約300メートルの距離を置き、これ以上は近づけないだそうだ。


「ええ、まあ、でもどうしてですか?」


「ここ数年、本島の戦争はかなり激しくなり、巨大で凶暴な野生動物も多い、これ以上近づいたら、巻き込まれる恐れがあります。」


「そうですか、わかりました、ありがとうございました、船長さん。」


 まあ仕方ない、大した問題じゃないしな。


「ゆうちゃん、あそこの崖の上に門を開いて。」


「了解ですわ!」


 佐佑が付いて来てよかったな、千月だけだったら、大問題だ。



「わぁーー!」


「もうさーちゃんったら。」


「だってゆうちゃん、こんなに広い所、見たことないじゃん!?」


「確かにそうですね、ちょっと感動しましたわ。」


 目の前に映したのは、広い平野だ、嘉南平原という、多数の川によって出て来た、沖積平野だな。


 うちらは、東石埠頭の南方約3kmの崖から降りて、丁度この嘉南平原の真ん中にいるだろう、まあ23年前の内蔵マップだし、推測しかできない。


「あれは……」


「お姉様…あれは、廃墟ですね?」


 ああ、想像をしたが、やはり実際に目の当たりにすると、感触は全然違うな。


 果てしのない廃墟だ、まるで、廃墟の森だ、ここからではよく見えないが、廃墟全体に絡まっているのは蔓だけではないようだ、なんだあれは…?


「大きな花ですわね。」


「ねえちゃん、ここって、本当に人間がいるの?」


 ああ、確かにそんな錯覚があったな、この雰囲気、いわゆる天外魔境だな、もしかしてここにいるのは人間じゃなく、魔物の世界、あと魔王もいる、とにかくそんな感じだ。


「ねえちゃん、僕、このあたりにちょっと回していい?」


「いいよ、ゆうちゃんも一緒に行って、あまり離れないてね。」


「わかりましたわ、お姉様。」


「…………」


 千月?さっきから廃墟をじっと見つめて、どうかしたか?


「……私、一体、どうしてこんな所にいるの…?」


 千月?どうした?なんか具合が悪いぞ?


「……私、もう、帰りたい…こんなの、私の居るべき場所では…ない。」


 ヤバイ、千月のやつ、またいきなり落ち込んてる。


『おい!しっかりしろ!おまえがいないと、あの子達死んちゃうぞ!?』


「……っ!」


『前向きで考えろ、うちらは早く隔離空間を解除すれば、他の任務をやる必要も自然となくなるぞ?おまえ、大金持ちになれるんだぞ?』


「いーちゃん、わかってないね…」


『何を…?』


「私が帰っても、大金持ちにはなれないよ、それところか、政府に囚われ、生産道具になると思うよ、前もいったでしょう?」


『……ああ、まさか、おまえはここで死ぬつもりか?』


「あんなことをされるくらい、死んた方がマシよ!」


 ちっ、落ち込んたら、マイナス思考になるのか、こういう時は年頃の女の子と変わらないな、面倒なやつだ。


「お姉様!!」


 うん?なんだ?


「ねえちゃん!変なのが来たぜ!」


 変…?え?ええーー!?


「ふええーー!?」


 な、なんだあれは…ドラゴンか!?



「アハハ!すごい!こんなものもあるなんて!」


『てめえ!笑う場合か!?』


 全く持って面倒だ!いきなり笑ったり落ち込んたり、あといきなり興奮したり凶暴になったり、忙しいやつめ!


 とにかくヤバイことになったのだ、なぜかうちらは、巨大なドラゴンみたいな生き物に襲われているのだ!


「さーちゃん!あいつの周りを真空状態にして!」


「しんくうってなんだよ!?」


 あ!ダイブしてきた!


「わあー!」


 おお?佑芳は間一髪で地面を隆起し、ダイブ攻撃を防いた!


「ゆうちゃん!」


「危ないじゃないですか!このトンボ!」


 いやせめて鳥っていってよ。


 そうだ、こいつドラゴンなんかじゃない、ハゲワシだ!しかしなぜか頭部以外全部西洋の想像生物のドラゴンみたいだ!5メートルくらいの大きさがあるぞ!


「さーちゃん!やつの周りの空気を全部消して!」


「そんなことできないよ!」


 マジかよ…風の操作ができるのに、空気を抜けることができない?いやもしかして方法はわからないのか?


「ゆうちゃん!あいつの周りの重力を増強して!」


「じゅうりょくってなんですの?」


 がああぁぁー!?湧にい!おまえは一体どんな教育をしてたんだよ!こんなこともわからないのか!?


「お姉様!危ない!」


 ああ!あいつは千月に向けて飛んて来た!



《イブ・システムー身体機能サポートプログラム、起動しました、出力10%。》



「へっ!こんな鈍い攻撃よっと!」


 おお!?やはり当たらないな、イブは久々に起動したぞ。


「おお?ねえちゃん早い!すごい!」


「ふん!」


 千月は間一髪であいつの爪を避けたあと、一回転してあいつの顔面にキック!


 ……びくともしない。


「あっちゃー、物理攻撃無効みたい。」


『そんなわけあるかボケ!おまえ攻撃力がないだけだろうが!』


 ちっ、あいつは地面から飛び掛ってきたぞ!


「さーちゃん!風であいつの上から地面に押し込んて!」


「あいよ!」


 ガァァーーーーーー!


 こいつ、鳴き声すらドラゴンに似ているぞ!


「よし!ゆうちゃん、あいつの周りの地面を陥落させて!」


「かんらく…」


「穴になって!」


「わ、わかりましたわ!」


 こりゃ駄目だな、見聞を広める以前の問題だぞ。


 そしてあいつは、穴に落ち、時間切れたあと、地中に封じ込められ、露出したのは頭だけになった、これで終わったな、この子達がいれば楽勝だ。

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