第8話 大事なのは自分がどう思うかだろ
「ねぇ二人とも、率直に聞かせて。さっきの映画どうだった?」
映画を見終わり、近くの喫茶店で食事がてらの休憩中、優姫がそう問う。
「どうって言われても…。まぁ、つまらなくはなかった。かな?」
「俺らあんま映画見ねーもんな。感想言えるほど経験値ねーよ」
「私、最後の主人公の行動のわけがどうしても理解できなくて…」
「ははぁ~ん、そういうこと。誘った手前つまらないとは言いだし辛かった。と」
「ギクッ」
僕が言ったその一言はどうやら優姫の核心をついたようだ
「は?そうなの?」
「~♪~♪」
優姫、口笛吹けてない。
「おいこら。その下手な口笛をやめてこっちを見ろ」
「だって、だってさ!これネットで評判良かったんだよ!だからこれにしたんだけど…。なーんか私の趣味じゃないかなーって」
「他人の評価なんかあてにしてんじゃねーよ。大事なのは自分がどう思うかだろ。お前はさっきのやつ俺らが面白かったって言えば面白いと思うのか?」
「うーん…思わないかも」
「だろ?」
「そうだね…うん、そうかも!そうだよ!理久!」
「お、おう…わかりゃいいんだ……」
珍しく理久が押されている。
「…それで?この後は買い物だっけ?」
「言っとくが荷物持ちならお断りだぞ」
「あはは、わかってるわかってる。私が二人にそんなことさせるわけないじゃーん。そもそも今日はそこまで荷物になるようなもの買うつもりもないし」
「どうだか…。ちなみに言っておくが自分で食ったものの金は自分で払えよな」
「え?」
「え?じゃねーよ馬鹿かお前は。まさか出してもらえるとか素っ頓狂な考えしてるんじゃねーだろーな。俺そういうやつめっちゃ嫌いなんだわ」
「…そうなの?」
優姫が何故か理久ではなく僕の方を向いてきた。
全く理久も少しは言い方ってものがあると思うのだが。
「そうだね。僕もどちらかっていうとお金は公平に分けた方がいいとは思うかな」
「…なーんてね!うん、わかってるよ。てゆーか私もお金出してもらえるなんて思ってる女嫌いだし。みんな同じ意見でよかったよ。てっきりそういう考え方してるの私だけなのかなって思ってたから。それに何より、そういう子の方がポイント高いでしょ?」
「あはは…」「ポイントって何だよ…」
***
その後も僕たちの休日は続いた。
いろんな雑貨を見たけど結局何も買わなかった優姫に理久がツッコみを入れたり。
チョコミントのアイスを買った僕に二人して「それはない」と言われたり。
ゲームセンターで嫌がる理久を半ば無理やりプリクラに押し込んだり。
気づけば時間は夕暮れ時になっていた。
「あそーだ。兄貴今日晩飯どーする?」
「あー、考えてなかった。どうしようか」
「え?二人とも親は?」
「今日一日いないんだとさ。出かけるって言ったら晩飯適当にどうにかしろって言われた」
「…!」
優姫が何かひらめいたといった顔をした。
「じゃあさじゃあさ!私がご飯作ってあげるよ!
「え?」「は?」
僕達の休日はもう少しだけ続くようだ。
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