第92話 092★ソルス・ロス・エンダ村、村人に遭遇



 私は、楽しみにしていたソルス・ロス・エンダ村でのスイーツと食事を諦めるしか無かった。


 そりゃーねぇ~…色々とてんこ盛りのRPG【黄昏の解放】の中と、現実は多少違うだろうとは思っていたけど………。

 まさか、ここまで過疎化しているなんてねぇ………。


 ダンジョンだってあるのに………はぁ~残念。

 しょうがないわね………ここは、当初の目的通り、冒険者ギルドに行って、冒険者登録をすませましょう。


 かなりガックリとした気分のまま、私は記憶にある冒険者ギルドへと向かう道を歩き出す。

 そして、このソルス・ロス・エンダ村が想像以上に、すたれている現実をまざまざとみることになった。


 ふわぁ~…想像以上に酷いわ………どうしてこんなことに?


 そんなことを思いながら歩き続けると、草臥れて色あせた冒険者ギルドの看板を見つけた。


 うわぁ~………こっちも、凄いわ。

 いや、本当にどうしちゃったの?

 ってか、そこの追求は後にして、とりあえず冒険者登録しないとね。


 なんて考えながら、私は扉を押した。

 が、しかし、冒険者ギルドの扉はまったく動かなかった。


 えっ? もしかして、鍵とかかかっているの?

 大物討伐の為に出払ってる………とか?


 開かない扉に、私は首を傾げた。


 おかしいわね? ガッちゃんに確認為に視てもらった時には、ギルドの職員が居たっていっていたのに?

 もしかして、本気でヤバイ魔物が出で、ここにするギルド職員まで総出で討伐に出てるとか………。


 扉に手を掛け、その前で首を傾げている私に、併設された隣りの宿屋から人が出で来て声を掛けてくれる。


 「どうしたい? ギルドに用かい?」


 私は、おじさんの問いかけにホッとする。


 あぁ良かった…村人が居た。

 なんか、ここが、ゴーストタウンのように感じ始めていたから……。


 もしかして、私がここまで来る間の短時間で、魔物に滅ぼされちゃったのかと思ったわ。

 あの前世での桃もどきのソルス・エル・ピーシェの大樹とその実が健在だったから、どうしてこんな人がいないのか? って、心底疑問に思ったもの。


 下手したら、話しだけに出てくる魔族とかが殲滅したのかと思ったわ。

 だって、この村で、人気が無いって状況が始めてだもの………。


 私は、ほぼ無尽状態の廃れた状態に、少しビビッていたようだった。

 とりあえず、声を掛けてくれたソルス・ロス・エンダの村人に、私は自分の目的を言う。


 「ええ、ここで冒険者登録をしようと思って………」


 意識阻害と認識阻害のティアラとピアスのセイで、私がぎこちなく笑って答えても、それを認識していないおじさんは、冷たく言う。

 マニュアルに従って、喋っているだけってわかってしまう。

 そんな温かみなんて、かけらも無い答えが………。


 「残念だな、ここには、もうギルド職員はいないよ」


 「?」


 へっ? えっ? えぇぇぇぇぇ? ギルド職員がいないの?

 どうして、ガッちゃんが視た時は居るって言ってたのに?


 私は想定外の答えに、驚いて何も言い返せなかった。

 そんな私に、おじさんはひとつ大きな溜め息を吐き出して、さも面倒臭そうに言う。


 「ここの冒険者ギルドは、もう廃れてねぇ~んだよ

  ギルドの職員は、せいぜい2週に1回、確認に来るだけなんだ」


 「どうしてですか?」


 なんで、冒険者で溢れていたこの村が、廃れてしまうの?

 いや、確かに私が知っている、この村の光景は、RPG【黄昏の解放】の中だけのモノだけど………。

 それでも、このギャップに驚いてしまうわ。


 いや……ちょっとまって………ここを訪れていた冒険者達のレベルが落ちたとか?

 本当に、他のダンジョンに潜ったほうが良いって思うほど、力の無い冒険者ばかりになってしまったの?

 それとも、私が前世で遊んでいたRPG【黄昏の解放】の世界と、このリアル世界はこんなにも違うっこと?


 認識阻害で、正確に私を認識出来ないおじさんでもわかるほど、私は呆然としていたらしい。

 その為か、宿屋から出て来たおじさんは、より詳しい説明をしてくれた。










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