第89話089★ローズスネイクの群れを討伐



 風の精霊さん達の結界が、レッドローズスネイクの攻撃もブルーローズスネイクの攻撃もパープルローズスネイクの攻撃もブラックローズスネイクの攻撃も、綺麗に無効にしてくれました。

 本当に、風の精霊さん達の結界は凄いですね。


 こんなに凄い結界を、私の歌で作ってくれるなんて………。

 しみじみ、風の精霊さん達って、チョロイと思ってしまいましたわ。

 前世、RPG【黄昏の開放】で、散々した苦労を思い浮かべ、その結界の強靭さに感動してしまいましたわ。


 もっとも、すべてのローズスネイク種を倒したから、こんなことを考えられる余裕がでたんですが………。

 こんなことで、ゲームとこの世界との違いを実感してしまいましたわ。

 そんな私に、ガッちゃんが話しかけてきます。


 『主さま、今回のローズスネイク種です

  たっぷり地駆鳥ちすけどりを食べていたので、ぜんぶ残してあります』


 私は、その言葉に、食べるのを我慢させてごめんねって思いました。

 だから、私は、ローズスネイク種の魔石や今まで倒した魔物の魔石で、冒険者ギルドに売る予定に無いモノを、全部ガッちゃんに食べさせることにしました。

 そう決めた私は、左手首のインベントリから、魔石をザラリッと出して言います。


 「ガッちゃん、ここにある魔石は、全部ガッちゃんに上げるわね

  ローズスネイク達の肉や皮、額のスネイクパールを我慢した分

  沢山食べてね


  勿論、ローズスネイクの魔石は、人間達にそんなに価値はないから

  食べちゃって良いわ」


 そう言うと、ガッちゃんは驚いた目で、私と魔石の山を交互に見てから、にっこりと笑いました。


 『主さま、ありがとう。とっても、嬉しいですぅ……では、いただきます』


 興奮したガッちゃんは、その興奮のまま、ひとしきり長い耳を撫で撫でしてから、ブラックローズスネイクの魔石を一粒を手に取り、ヒョイッと口に入れるともぐもぐしました。

 そして、にこにこ笑って、ガッちゃんは私に言います。


 『主さま、とっても美味しいです』


 それからは、まず始めにローズスネイクの魔石をもぐもぐごっくんしてくれました。

 たぶんに、ローズスネイクの魔石に含まれる魔力と相性が良く、美味しく感じるのでしょう。


 蕩けたような表情で、ローズスネイクの魔石を食べるガッちゃんは、とぉーっても可愛らしかったですわ。

 そう、食べる姿を見ている私が、こころからしあわせになれるほど………。


 そして、思います、ブラックローズスネイクが、あのダンジョンで出て来た魔物より、はるかにヤバイ魔物だったというコトを………。

 風の精霊さん達がチョロかったから、難なく無傷で倒せましたが………。


 風の精霊さん達の強力な結界が無かったら、私達は回れ右をして、ローズスネイク種及び地駆鳥から、安全を取って逃げていたと思いました。

 それに、死薔薇の鞭を手に入れたという幸運が無かったら………。


 私は、色々なことを知っていて、その時に応じた、的確なナビをしてくれるコウちゃんと、なんでも食べれるガッちゃんがいてくれた幸運を神に感謝しました。

 そんな私の耳に何時ものように、ガッちゃんの声が聞こえました。


 『ご馳走様でした』


 流石はガッちゃん、あんなにあった魔石を綺麗さっばり食べ終わったようですわ。

 くすくす……長い耳を両手で撫で撫でするほど、ご機嫌なのね。

 はぁ~…あの愛らしい姿と仕草…癒されるわぁ~………。


 これで、ガッちゃんを抱っこして、思う存分もふもふ出来たならなんて………。

 魔の森で、私はお花畑なコトを考えていましたよ、ええ本当に………。

 いけないわ…こんなにぼけっとしていたら、あの馬鹿と一緒になってしまいますわ。


 つい、あのお花畑のことを思い出してしまったわ。

 あのお花畑の馬鹿との婚約時代は不幸だったけど、色々な意味で助けてくれる人間が側に居たコトを思い出せたことに、感謝しなきゃね。

 お父様の愛にも………。


 なんて感傷にふけるのは、きっとお腹が空いたからです。

 ここは、ソルス・ロス・エンド村で、美味しいものを沢山食べて、気分を盛り上げましょう。

 っとその前に、コウちゃんにお礼を言いましょう。


 「コウちゃん、今回もナビありがとう。風の精霊さん達に結界を張ってもらって、とっても助かったわ」


 『えへへ嬉しいな……ママが笑ってる

  ママ…カラオケで歌った記憶をモトに映し出すから、たっぷり歌ってね

  俺もママの歌を聞きたい』


 そうね…風の精霊さん達にお礼をしなきゃいけないわね。

 ではたっぷりと、アニソンを歌いましょうか?

 なんて思いながら私は頷いた。


 「うん。たっぷり歌うわ。風の精霊のみなさん聞いてくださいね」


 私は、歌いながら歩き出した。

 だって、気分が良かったから………。






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