第5話005★やっぱり、ここは剣と魔法のRPGの世界のようです

 そう認識した途端に、大量の記憶がどこぞから怒涛どとう雪崩なだれのごとく流れ込んで来て、私は強烈きょうれつ眩暈めまいを感じてしまう。


 うわぁぁぅ~…勘弁して……意識がグルグルするわぁぁぁ………はぁはぁ……。

 眩暈めまいと戸惑いにクラクラしつつも、あの乙女ゲームその他の情報を記憶の中から拾い出すことにした。


 でもって、今いるスチルは………はぁ~………。

 残念、これって乙女ゲームじゃないわっ………。

 ってことは、何故か確信できるわね、スチルが違いすぎるもの。


 ただ、乙女ゲームのモノじゃないけど、同じゲーム会社のモノで間違いないわ。

 私…そう、たぶん前世か、その前の前々世の私は、とにかく収集癖がひどかったわ。

 だから、多少自分の嗜好に合わなくても、関連商品を全部買いあさって、コンプリートにこだわっていたから………。


 そう思った途端に、すぅーっと様々なゲームに関する記憶が次々と浮かび上がってくる。

 ああ…かなり明確に思い出したわ……。


 タイトルは思い出せないけど、確かにあの婚約破棄シーンは、乙女ゲームのモノだったわね。

 でもって、あの乙女ゲームを作った会社は、たしかメインが男性オタク向けのエロゲー専門の会社だったはず。


 そう、あのゲーム会社ってば、男性用オタク向けエロゲー専門のクセに、何をとち狂ったのか?

 ビッチとしか言いようの無いヒロインがエロエロしまくる乙女ゲームに、剣と魔法がメインのRPGから、モ○ハンも真っ青なハンティングアクションまでをコラボしたヤツを出したのよ。


 ちなみに、RPGの方も、トラ○エやファ○ファン以上のモノだったわ。

 特にイベントに出現する幻獣や聖獣や神獣から魔物の類まで、精緻でリアルなスチルが豊富だったのを覚えているわ。


 お陰で、そのエロゲー会社の戦略にハマッて、大人買いで関連商品をコンプしたの覚えているもの。

 関連商品が多くて、あの出費は結構痛かったわぁー…いや、マジで。

 でも、関連商品ぜぇ~んぶコンプしたもの……。

 そう言えば、ネットでも、コンプで出費が痛かったっていう声が多かったわね。

 それを見た時………仲間がいっぱいって思ったものよねぇ…じゃなくて………。


 このスチルって、間違いなくネットでもどうやっても攻略できないって有名なイベントで、何度も挫折を繰り返したアレだわ。

 そう、コレは剣と魔法がメインのRPGの難攻不落のイベント。

 どうしよう、この先にあるのは封印の間じゃないのぉぉぉぉぉ~………。


 たしか、この異世界の創造主である女神の最初の子が狂って、封じられた神苑のダンジョンだわ。

 別名、難攻不落の深淵の絶望ダンジョン。

 封じられている狂った創造主の子を攻略するイベントのスチルだわ。

 すごい異形の姿で…って、ああ…この部分の記憶があやふやだわ………。


 うわぁ~ん…絶望的だわ。

 じゃなくて、落ち着くのよ、私。

 その前に、変な記憶やら知識が湧き出てくる理由を考えないと………。

 そうそう、落ち着いて考えられる場所に移動した方が良いわね。


 確か、狂気に陥った創造主の神子を守るガーディアン機能があったはずだから、下手に動くと、まずそっちに襲われて戦力ダウンするのよ。

 でも、たしか直前のセーブポイント兼回復用の部屋が、少し先にあるはず………。

 もし、そこが存在したら、剣と魔法がメインのRPGの難攻不落の絶望イベントの場所確定ね。


 そう思いつつ、私は当座の安全を求めて、ヨロヨロと歩き始めた。

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