第177話 げに若さというものは経験不足による考えの及ばなさ

うちの娘はコーラスのクラスをとっているんですが、コーラスの先生のえこひいきが凄くて、娘の愚痴の多いこと。多いこと。先生のお気に入りはソプラノの子で、次回のイベントで歌う曲目もその子と先生で勝手にきめてしまったのだとか。娘たちアジア系の子たちはMitsukiっていうアーティストの曲を押したんだけど、結局オリビア ロドリゴの曲に決められてしまい、抗議したらキレられたんだそうで。


ま、そりゃそうだ~。

オリビア ロドリゴはグラミー新人賞とるくらいメジャーなシンガーソングライターだし、コーラスの先生は白人男性。たいしてMitsukiはどマイナーでラジオでもめったに彼女の曲はかからない。基本単調な曲を情念こもった歌い方で歌いあげるというスタイルなので、コーラスにするなら歌い手の表現力と技術、編曲者の技量にかかってしまう。要するに先生の手間がかかるのだ。選ぶわけがない。


娘たちは皆に投票させなかったことを横暴だと怒っていたけれど、公立学校の音楽教師なんて、給料が多いわけでもなく、そんなにモチベーションも高くないだろう。この先生が音楽理論や楽譜の記号の一つも教えたという話も聞いたことがないことから鑑みても、この人のモチベ―ションは最初から歌がうまい子に賞でもとらせることなのだ。だからコーラスなのにやたら一人にソロを歌わせるパートが多い。



そんな風に考えるには、娘たちは若すぎて、経験が足りないのであろうと思う。



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