占い

ちまたで評判の占い師がいた。

今後に不安なんて無いが見てもらおうと

その青年は思った。

青年はドラマを撮影しているチームの

アシスタントとして働いている。

ドラマの今後なんて

聞いてみようかと思いながら

占い師の所へ行った。

4階建てのビルの3階に占い師はいた。


「どうぞ座って。」


「ありがとうございます。」


「ここへ来たのは何のご相談ですか?

色んなジャンルがあります。恋愛?未来?」


「今僕はドラマのアシスタントを

やっているのですがそのドラマは

ヒットするでしょうか。」


占い師は分度器のようなものを

取り出して頷き、

縦と横の線だらけの紙に赤い点を打った。

そしてそれぞれを照らし合わせていき、

なるほど。と頷きながら呟いた。


「ヒットも何も大繁盛。安泰ですね。

新しいニュースターが誕生する。

その俳優の写真集などは売れに売れ、

名を知らぬ人はいない

一躍時の人となります。」


ドラマの主人公は今流行りの俳優。

もう売れている。

他の俳優達も

名バイプレイヤーばかりで

新しい人はいない。

この占い師、さては嘘をついたな。


「ありがとうございました。

おかげで安心しました。」


そう言って占いの現場から

出て行った青年は

翌日アシスタントとして

ドラマの製作にたずさわった。

だが、主人公の男性が

交通事故で大怪我を負ってしまい

ドラマにもう出演できない状態に。

幸いまだ3話分しか収録が

終わってなかったので

いくらでも代役を決めることができた。

だがオーディションをする時間は無い。

つまり主人公役と同じ年齢くらいの代役を

ドラマチームから探さなければならない。

そこで当てはまったのがこの青年である。

彼の演技は目を見張るものがあり、

容姿もなかなか良い。

主人公役よりも優れた人材だった。

後にドラマは大ヒット。

名の知れてない青年が

いきなり主人公ということもあり売れた。

占いも案外当たるものだな。

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