ドラゴンと魔女の唄

ドラゴンと魔女の唄

　焼き払え、焼き払え、全てを焼き払え。私のドラゴンは黒い炎を吐いて、その長い首をあっちにこっちに。踊った炎はみんな黒い黒い炭に変えていくの。

　踏み潰せ、踏み潰せ、みんなぺしゃんこにしてしまえ。私の黒いドラゴンはみんな押しつぶして平らにして……そんなところにいたら危ないわ、だってそこはドラゴンが歩くから。

　ドシン、ドシン。大地が、みんなが恐れてる。ごめんなさい、見えなかったの。だって小さいんだもの。

　羽ばたけ、羽ばたけ、風になれ。私のドラゴンは黒い翼で何より速く飛んでいく。空挺艦隊、海上艦隊なんのその。あなたが起こす風でみんなオモチャみたいにひっくり返っちゃった。

　薙ぎ払え、薙ぎ払え、すべてを薙ぎ払え。私のドラゴンの尻尾はとても長いの。強くしなって奴隷商の鞭みたい。城壁、お城も、要塞も。みんなケーキみたいに切れちゃった。

　お腹を空かせたドラゴンさん。お味はどうかしらドラゴンさん。あなたのお口に合うかしら？　南の方にはもう無いから今度は北に行きましょう。それとも西がいいのかな？　あなたの行きたいところなら、どんなとこでもついて行くよ。

　チロチロのベロに、お口から溢れるマグマはとても綺麗。おめめは夜空に浮かぶスピネルで、翼と脚の爪はホワイトコーラル。ごつごつお肌は何て言おうか？

　いい子だ、いい子だ、ねんねしよう。

　酷い人がいるものね、遊んでいただけなのに。

　明日はもっと早く起きて、太陽の昇る方にいってみようか。あの白い山を黒く染めるのも楽しいかもよ。

　また明日。私の、私のドラゴンさん。