第8話 すれ違い
翌朝目が覚めて起きると、守はいなかった。
守がいなくて寂しさを感じた美優だったが、机の上にあったメモと花束を見てくすりと笑った。
「守くんったら…」
美優は、今日も頑張ろうと気持ちを奮い立たせていた。
その頃、守は仕事へ行く準備をしていた。
守は美優と撮った写真をフレームに入れて飾っていた。
写真を見ながら目を細めた守は、写真の美優に向かって「いってきます」と言った。
そんなこんなで時間は過ぎ、カフェの閉店時間になった。
守は来ていない。
「今日、来るって…もっと時間作って一緒にいるって…言ったのに」
美優は呟いた。守の仕事が忙しいのはわかっていたが、
こうも会えない日が多くなると寂しさが募り、不満が口から出てしまう。
この日は、守は来なかった。
美優が二階の部屋でくつろいでいると、電話が来た。
守からだった。
「みーちゃん、ごめん。今日はいけない。
もっと早く言えばよかったんだろうけど、なかなか手が離せなくて」
「……なんでですか」
「ん?みーちゃん?」
「だったらもっと、早く言ってくださいよ!変に期待しちゃうじゃないですか!」
「みーちゃん、ごめんよ、ごめん。」
「もういいです!」
美優はドタキャンされたことがショックだった。
仕事なら仕方ないと思っていたが、それでも許せなかった。
会えないならもっと早く言ってくれればよかったのに、と。
美優は一方的に電話を切った。
「みーちゃん、待って!みーちゃ…」
守は愕然とした。美優が怒るなんてことは一度もなかった。
ましてや、喧嘩など一度もしたことがなかった。
美優はいつも穏やかで大人しくて、優しかった。
確かに、仕事にかまけてなかなか美優を構ってあげられなかったが、
美優が怒るとは思わなかった。
確かに、ドタキャンしたのは悪かったのかもしれない。
「みーちゃん、ごめん…でも、仕方ないんだよ…君に電話する時間もほとんどなかった。
それに、僕が企画したショーがもう少しで始まるから、忙しいのは勘弁して欲しいんだよ…」
守は黙って天井を見つめていた。
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