キャラクター考
ストーリーは全部読まないとその作品の面白さはわからない。
途中でつまらないと感じたら、最後まで読まれなくなる。
でもキャラクターを好きになってもらったら、そのキャラクターが出てきているあいだは読んでもらえる。
「こいつ面白い」と思ってもらえたら、読者はキャラクターを追う。
そこがストーリーよりキャラクターが面白くなければいけない理由である。
児童向けの漫画を描く本(キャラクター編)の要点を書いてみました。
たしかに世界観や設定が凝っていると、その説明で疲れた読者から離れていきます。
これは「僕」の話なんですけど、小説を書こうとする時、設定を細かく考えすぎる節があります。(それで自分が満足するならまだしも、途中で飽きるんですよね)
凝りすぎると最後まで読んでもらえないというのは、読み手になって気付きました。
感想書きます企画を立てて長編がたくさん集まった時、凝った世界観の読みにくさに慄然としました。
(あの、序盤で一人一人の役職を紹介しないでください。「誰が会議をしているのか」ではなく「どんな会議をしているのか」さえ伝われば十分なんで)
「これ面白いな」と思ったのは文体がギャグ調でしたね。凝った世界観を頭に叩き込ませる作品と読者が楽しめる物語は全然違いますね。
そういえば、図書館で見つけた『男子弁当部』なんですけど、キャラクター一人一人の細かい設定を用意してから物語作りに挑んでいると感じました。
そうか、凝るとしたら世界観よりキャラクターかもしれません。
そう思って、登場人物たちに八百字程度のプロフィールを与えてから五万字程度の物語を書こうとしたのですが……失敗しました。
キャラクターの特長を活かしたストーリーではなかったので、キャラクターの魅力を発揮できませんでした。
それに「なんでこのキャラクターはこんな行動をとるの?」と読者の頭にはてなマークを植え付けるシーン(※いわゆるキャラ崩壊)が多くて……もう目も当てられない!
書いたの僕なんですけどね!!
そう考えると『そば打ち甲子園!』は凄いなあ。そば打ちに対して興味も熱意もバラバラな五人が大会で協力し合うんだから。
とくに、食べる専門のあの子が悩んだ末にある行動を起こしてからの展開は好きですね。
ちゃんとキャラクターを掘り下げてくれなかったら、あんなに感動しなかったでしょう。
思い返せば、僕はストーリーを進めることばかり考えていました。もっとキャラの交流を増やすべきでした。はいはい、反省反省。
そういえば『世にも素晴らしき数学者たちの日常』という数学者と交流した内容の本を読んだことがあるんですけど、あれは驚きの連続でした。どうしてこんなにも、面白い人とたくさん出会えるの? 引きが良すぎじゃんと思いました。
著者の観察眼が素晴らしいのか、魅力を引き出す「聞き出し力」が備わっているのか? 数学者たちの個性が十分に伝わってくるところが、あの本(いや著者?)のすごいところですね。
また物語を書く気力を取り戻したら、『Jail Fragment』のような交流だけで魅せる作品に挑戦してみたいです。
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