恋人の掟

池田蕉陽

第1話 恋人の掟


 念願の彼女が出来た。俺は幸せだった。好きな人と両思いになれることが、ここまで俺の胸中に花を咲かせるとは思いもしなかった。


「ねぇ好きだよ」


 彼女が頬を赤らめ甘い声で言った。最高に可愛いかった。


「ああ、俺も好きだよ。絶対に永遠一緒にいような」


「うん、もちろんだよ。そのためにはルールが必要だね」


「ルール?」


「そう。浮気はどこからがアウトとか、色々決まり事を約束してた方がいいでしょ?」


「ああ。そういうことか。確かにな」


「悠くんはなにかある? そういうの」


「うーん、そうだな。俺は特にないな。できれば自由でいてほしい」


「それじゃあ浮気がどっからか分からないよ」


「まーそれもそうだな。キスはダメだな」


「それは絶対ダメだよ!悠くんもしちゃダメだからね?」


「わかってるさ。それであかりはなにかあるのか?俺に対して」


「うん、あるよ」


「ほお、いってごらん」


「まずは一日最低360回は私に愛のメールを送ること。あと私の電話とメールには必ず五秒以内で応答すること。あと、私以外の男女の連絡先全部消すこと、これから一切追加もしちゃダメだからね。あとメールとかでなくても学校とかで先生や友達とか女の子と話してもダメ。それ見つけたら私も死んで悠くんも殺します。あと私が欲しい物は全部買うこと。朝六時になったら私に電話して起こすこと。私とエッチする時はコンドームをつけずに中に出すこと。私の宿題は全部悠くんがすること。帰り道は悠くんが私をおんぶして家まで送ること。学校行く時も一緒ね。授業の合間の休み時間は必ず私の教室に来て好きだよって伝えること。悠くんサッカー部だけど、会える時間少なくなるから退部すること。土日は私が行きたいところにおんぶして連れていくこと。家族の事情より私が優先ね。もし何らかの事故で私が死ぬことになったら、悠くんも後を追って自殺すること。そうしないとあの世で呪うからね。悠くんが先に死んだ場合は別の彼氏作るね。ご飯食べる時は必ず悠くんが私に食べさせること。あーん、って声は絶対だよ。平日のお弁当の時は毎日かに道楽のお持ち帰りを私に渡すこと。夜ご飯は焼肉で我慢するね。あと、他の人と喋ったらダメって言ったけど、何とかして私の事が可愛いってことは伝えといてね。試行錯誤か大事だよ。あ、言い忘れてたけど家族の人とも口聞いちゃダメだからね。絶対私としか喋ってはダメだよ。でも、どうにかして私の事が可愛いってことは伝えてよね。あと将来は進学せずに就職すること。給料は全部私に渡してね。それを定年退職まで続けること。私の言うことはなんでも聞くこと。あと、悠次郎って名前私嫌いだから改名すること。何がいいかな、ボンバーエチケットスーパーミラクル鼻毛鼻毛鼻毛×36億万のマイケル・ジャクソンヒーハーって名前にしてね、うん、とてもかっこいいよ。あと就職してっていったけど、最終的に総理大臣になること。あとそれから……」


「なあ明」


「ん? どうしたの?」


「別れよっか」

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恋人の掟 池田蕉陽 @haruya5370

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