マクガフィンを捜して

今村広樹

本編

 さて、ご存じのようにニューラグーン地方は、帝国領ニューラグーン州をはじめとした5つの自治体が存在している。

 ドラゴニア自治共和国はそんな中の1つだ。

 今回の話の舞台となるとる市は、そのドラゴニア自治共和国の南の方にある港町である。

 物語は、この港町に一人の右目に眼帯を付けた少女がやってくることから始まる。


「にゃあ、ホントにきちゃったにゃあ」

と、件の少女は湖採の街並みを見て感嘆の声をあげた。

 彼女の眼下には、大戦期以前のおもかげを残す石造りの家や倉庫があった。

 さて、彼女がこの街に来た理由は、別に観光ではない。あるモノを探しに来たのである。

 それが、この湖採にあるとわかるまでにいろんなことがあったが、それは追い追い語ることもあるだろうし、今語ることでもないだろう。。

 今は、彼女ががあって湖採に来たのだというお話であることを、ご理解いただきたい。


 ともあれ、少女はそれを探してある倉庫に来た。

「たしか、ここらへんにあるはずにゃけど?」

と、その時、倉庫の扉がガラガラと開く。少女はあわててコンテナの影に隠れた。

やってきたのは、あからさまに柄の悪い連中で、何かを持ってきたらしい。

「ほら、きびきび働け。まったく、ただでさえ例のブツはあちこちから狙われてるんだから、ちんたら出来ねえんだよ」

「へぇい(たく、そんな急いでるんだったら、てめえでやりやがれ)」

「うん、なんか言ったか?」

「いえいえ(ちっ、悪口だけ聞こえる耳かよ)」

と、愚痴が多い方の悪党が一人の少女を連れてきた。

「ほら、早く来い!

お前さんが来ないと始まんねえんだよ!」

 少女を強引に偉そうな方に連れていこうとしたその時。

「まちにゃ!!」

と、眼帯少女が制止する。

「なんだ、てめえは?」

「女の子に乱暴するやつは許さにゃいぞ!」

「は、だったらどうするってよ!」

と、偉そうな方が、眼帯少女に銃口をむけると、彼女はおもむろに、右目の眼帯を取った。

 すると、右目からが発射され、偉そうな方がブッ飛ばされる。

「ちくしょう、覚えてやがれ(なんだありゃ?)」

と、もう一人の愚痴っぽい方が逃げ出した。

 残ったのは、二人の少女。

「大丈夫かにゃ?」

 眼帯を治した少女は、もう一人に向かって聞く。すると、彼女はコクリとうなずいたので、眼帯少女は安心ホッとした風なため息をつく。

「ふう、良かったにゃ」

「貴女は、なんでここに?」

「ちょっと探し物があってね……」


 しばらくして。

「もう、行かなきゃダメ?」

 寂しそうに、拐われてた少女は言う。

「ああ、そういうルールにゃのよ、モノが見つかるまでさ迷い続けるってね。全くめんどくさいにゃ」

「……、またどこかで会える?」

「うん、またいつかどこかでね」

 眼帯少女がそう言うと、拐われてた少女はパァッと、明るい声でこう返す。

「じゃあ、またね!」

「ああ、また会う日まで、さようにゃら」

と、眼帯少女は穏やかに笑いながら手を振って言った。


 こうして、眼帯少女の旅は続いていく。

 どこへ行き、終わることはあるのか、それはわからない。

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マクガフィンを捜して 今村広樹 @yono

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