第2話  入部(強制)した。

今、俺はイスに縛り付けられている。マジでどうしよう?

「あなたの名前は?教えて?」

そう考えていると角野かくの夜見よみが喋り掛けてきた。


「俺の名前は一条晴人だ。ていうか、解いて欲しんだけど。」

俺は体を縛っているひもを解くように言った。

「なら手だけ解くわ。」

すると手を縛っていたひもだけ解かれた。

「なんで手だけ?体の方も解けよ。」

「無理。」

いやなんでだよ、コイツふざけてやがるな。俺はイラッとした心を鎮めさせて聞いた。


「なんで?」

「それは......。貴方が逃げそうだからよ。で、この部活動について教えてあげるわ!さーちゃん教えてあげなさい!」

そう角野夜見が言うと、佐々木ささき琥珀こはくが前に出てきた。


「なら説明しますね。まず部活動内容ですが、ただ喋るだけです。」

「えっ、それだけ?」

何その部活?よく学校が許可したな。


「はい、そうです。で何故、あなたを誘拐..ゴホン、ゴホン、すいません。

で何故、勧誘したかと言うとですね。」

「ちょっとまて!今、誘拐って言ったよな!?」

この人もやばい人だな。しれっと誘拐と言いかけたぞ。

「何故したかと言うと。」

「無視かよ!」

話を聞いてくれない......。

俺は諦めて聞くことにした。


「で何故したかと言いますと、今この部活には部員が二人しかいません。なので今年、新入部員が入らないとこの部活はピンチになります。ここまではいいですか?」

「いいぞ。」

意外にまともだな。もっと酷い理由かと思っていたよ。


「なら説明を続けましょう。次の理由は、はるとさんを勧誘しても他の部活には被害が出ないからです。」

前言撤回、酷い理由だった。ていうか他の部活に被害が出ないからって酷過ぎだろ。泣いていいかな、いいよね?


「質問はありますか?」

「ありまくりだよ!誘拐って大問題だよな!?」

本当に、それは大問題だよな。それこそ廃部になるんじゃないかな?


すると、佐々木琥珀がその小さい胸を張って自信満々に言ってきた。

「それは大丈夫です!校長先生も教頭先生も許可を出してくれたのです!」

「この学校、大丈夫か!?」

そう言い、頭を抱えていると角野夜見が喋りかけてきた。


「この入部届けにサインして、そしたら今日は開放してあげるわ。」

それは無いな。絶対サインするもんか。自分の時間を無駄にしたくないからな。そう思い言った。

「嫌だよ!」

「ちなみに拒否権ないからね。断ったら退学になるからね。ほらこの紙を見て。」

内容はこう書いてあった。


この部活に置いて誘拐や拉致などは、暴力を振らない限り許可をする。


いやなんでだよ!校長先生、教頭先生酷すぎでしょ!

ていうか、断わっても地獄、断らなくても地獄、なんて酷すぎだろ!う〜ん、どうしよう......。ひらめいた!部活に入っても行かなかったらいいじゃないか!よし、そうしよう。


「よしわかった。それにサインするから今日は解放してくれ。」

すると角野夜見は、拍子抜けした顔をして、

「あら、お定規がいいじゃない。ほらペン。」

俺はペンを受け取って、入部届けにサインをした。


すると、いきなり角野夜見が思い出したように言い始めた。

「自己紹介していないじゃない!ということで私から、名前は角野夜見でニ年生よ。よみと言ってもいいわよ?まあよろしく!」


よみ先輩の自己紹介が終わると、佐々木琥珀が前に出てきた。

「次は私ですね。名前は佐々木琥珀です。ぜひこはくと呼んでください。よろしくお願いします。」


なら次は俺の番かと思っていると、よみ先輩が言ってきた。

「はるとはしなくてもいいわよ。全て学校に調べさせたから。」

「この学校、本当に大丈夫か!?あとそろそろ解いて!」

そう言うと、思いが伝わったのかこはく先輩がひもを切ってくれた。


俺は逃げるチャンスだと思い、ありがとうございましたと言い走って逃げた。後ろで何かよみ先輩が言っていたが振り向かずに家まで帰った。


    

    マジで今日は疲れた......。

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