敵だらけのこの世界で〜THE DUAL〜
いんてぐらる
第1.0話〜なんで、俺ばかり〜
スチールウールはよく燃える。だが、即座に新たな酸素を送り続けなければ、直ぐに燃え尽きてしまう。
それと同じように、変わり続ける努力をしなければ、人間は老けてしまう。
これは、俺が最近学んだ処世訓だ。今が正しかったとしても、それは直ぐに廃れてしまう。
はぁ。
しかし、「なんで、俺ばかり」って心底思う。
例えば?誰も全うしようともしない日直の仕事を、クラスで俺だけが極めて誠実にそれを完遂しているのに、見向きもされなかったり?
学生寮にある補食室のテーブルの汚れを見えないところで、率先して掃除しているのに?
誰よりも、どの寮生よりも、どの高専生よりも努力をしているって胸を張って言えるのに、寮内のアイス販売機で食べたかったプリン味が完売してて、そのままラインナップが変更されてしまってプリン味が食べられなかったり?ゲームばかりして怠けて単位を落とすような輩よりも、断然俺の方がアイスのエネルギーを有意義に使えるというのに。
やはり、「なんで、俺ばかり」ってつくづく思うな。
こうやって、素直に自分のしてきたことを肯定できるのは、最近「表」の俺が「裏」の俺と仲良くしてくれるようになったからだな。
誰にだって、建前と本音はあるはずだ。俺の思う自分の表裏はその程度のこと。
もっと簡単に言えば、制御と暴君。はたまた、心の光と闇。ジキルアンドハイドか?ははっ、なんとでも言えるさ。
いとも簡単に綺麗事を並べまくるが、本音だけは揺るがない。人間はそう言ういい加減な生き物だから。
でも時々、俺の中で表と裏が荒れ狂うことがある。それはまるで、全くの別人の二人が、俺という器に「我が先に」と入り込んで、鍔迫り合いでもしているかの様に。
それは人間、誰でもそうなのだろうと信じている。これを二重人格とは言わないのなら、尚更だ。
ま、これからも表裏両者とも仲良くやって欲しいところではある。
そのお陰で、俺に変わる勇気が湧くからさ。
正に今この瞬間、変わろうと一歩踏み出すところだ。
『まーさん、久しぶり』
ってな。俺なりの、久方ぶりに話す女子へ贈る渾身の挨拶だ。メールで送るだけに。
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