待雪草に祝福を

ヒヨリ

プロローグ 手折られた花と孤独な化け物の話

 ある少女に執着し、執着し、ただ執着する青年がいる。彼女を花と謳い、理想と宣い、そして希望と定める青年がいる。

 それは周知の事実で、青年自身それを否定しなかった。

 青年は少女に無差別な愛情を与え、また少女も彼を無条件に受け入れた。

 傍目から見れば彼らの関係は歪んでいたのかもしれない。いいや、事実軋んではいたのだろう。

 それくらい彼の少女への執着は異様で、そして妄信的だった。


 ならば彼らの関係はいつ、何処で、そもそもどのように始まったのか。

 それを問われると答えられる者はゼロに等しい。どうしてか少女自身、その問いの答えは曖昧だ。

 だがたった一人。一人だけそれを知る者がいる。


 その者の名を莉窮りきゅう なぎ

 一人の少女に盲目的に依存しているである。


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