第44話 美優、母親との再会

この街で恐らく一番デカいゲームセンターにやって来た。

美優ちゃんが暇を持て余す可能性が有る為に暇にならない様に楽しませる為、だ。

まあ.....それ以外も有るけど。

それらも有り、途中で合流した佑太郎とたっちゃんと共にやって来た。

美優ちゃんは、ワー!遊ぶものがいっぱい!、とはしゃいでいる。


それをしっかり抑えているのが夏帆と、たっちゃん。

そして苦笑しているのが俺と佑太郎だ。

本当に元気だな、子供って。


「にしても小学生.....可愛いなぁ.....あはは」


「.....お前が言うと犯罪っぽく聞こえる。.....マジに勘弁してくれ」


「ハァ?殺すぞ宗介。お前」


「おうやってみやがれハゲが。何を言ってんだコラ?」


俺達は睨み合い。

そしてブッと吹き出して爆笑した。

でも何だって佑太郎が来る必要が有るんだ。


佑太郎はあまり関係無いのにな。

思いながら.....佑太郎に、有難う、と呟く。

そんな佑太郎は笑みを浮かべて俺に、大丈夫だ、と言った。

そして言ってから複雑な顔になる。


「.....にしても.....驚きだな。列車事故の被害者だって.....お前の近くに現れるなんてな」


「.....ああ」


本気で驚いたからな.....。

俺は複雑な顔で目の前の美優ちゃん達を見る。

実際はまだ色々と有るが列車事故のところだけ佑太郎には説明した。


それ以上、説明した所で.....状況が変わるわけでは無いしな。

個人情報でも有るし、美優ちゃんにバレるのがマズイと思う。

そうしていると夏帆が俺に向いてきた。


「お兄ちゃん。美優ちゃんクレーンゲームしたいって」


「おう、ならさせてやれ。女子会だな。俺と佑太郎はそこら辺を歩いてる」


「そう?じゃあ.....やってくるね」


女子会という事を言いながら夏帆達を見送る。

にしても.....それはそうと本気でデカいゲーセンだな。

思いながら見渡していると最新機種の太鼓の○人を見つけた。

俺は背後の佑太郎を誘ってみる。


「おい。太鼓やるか?」


「おー。良いね」


「決まりだな」


そしてバチを持つ。

それから台に百円を入れた。

おに、をやってみる事にする。

佑太郎もバチを持って構える姿勢になる。


「.....じゃあやるか。で、曲、何にするよ」


「お?じゃあアニソンで」


「お前本当にオタクだよな」


「何を。オメーもだろ」


クスクスと笑う。

じゃあ有名歌手で.....設定完了だ。

よっしゃやるで。

思いながらバチを持って身構える。

そして叩いた。



「楽しかったな。.....太鼓」


「だな、んで、次は何をする?」


「そうだな。メダルゲームとか?」


とりま、色々有るしな。

考えながら.....スマホを見る。

まだ遊んでいる様だ。

写真が添えられている。

俺はそれを柔和な顔で見ながら.....佑太郎と声を発する。


「メダルゲームすっか?それかそこに有るマリカーとか」


「どっちでも良いぜ。お前の好きな方やれよ」


「.....何で俺に決めさせるんだよ.....」


仕方が無いじゃあメダルゲームでもすっか。

思いながら俺はメダルを買う。

そして遊ぼうと思い、横を見た。

小さな、小学生ぐらいの女の子が立っている。

俺は?を浮かべながら.....佑太郎と共に見る。


「.....えっと、君、.....何かな?」


「.....お兄さん。美優お姉ちゃんを知りませんか」


「.....え.....」


そして目の前を見ると。

そこには.....女性が立っていた。

そこに戻って行く、女の子。

俺は?を浮かべながら手を挙げて、佑太郎先言っててくれ、と言う。

おう?と返事しながら先に行く佑太郎を見送っていると女性が複雑な顔をしながら言葉を発した。


「.....すいません」


「いえ別に.....その貴方は?」


「.....私はその.....美晴と似た様な女の子を見掛けたので.....つい、懐かしく思い、付いて来てしまいました」


その、お聞きしたいのですが美優さんはどの様なご関係で?

と女性は聞いてくる。

俺は、え?あ、えっと.....そうですね、と説明した。


すると女性は、え.....、と愕然とする。

その子.....えっと.....と言う美晴さんのお母さん。

そして慌てて写真を取り出した。

そこには.....子供が二人写っている.....のだが。

幼い顔立ちで分かったが、美優ちゃんに似ている。


俺は、え?、と素っ頓狂な声が出た。

まさか、そんな馬鹿な事が?

俺は静かに女性に聞いてみる。


「.....まさか貴方.....」


もしかしてと思いながら.....女性を見る。

服装から言って、あまり裕福では無い様に見える。

少し服が寄れていたりするから、だ。


その女性の顔をよく見てみる。

痩せている顔立ちは確かに美優ちゃんに似ている。

まさか.....嘘だろ!?


「.....まさかそんな偶然が?」


「.....私も驚きました。この地区には先だって引っ越して来たばかりなんですけど.....」


「.....」


まさか.....このタイミングかよ.....と愕然とする。

このまま美優ちゃんに会わせて良いのか?

思い、スマホでメッセージを送ろうとした、のだが。

既に全てが手遅れだった。


「誰?お兄ちゃん」


「ソーちゃん誰?」


驚愕しながらその方向を見る。

すると美優ちゃんに美晴ちゃんが駆け寄った。

そしてお姉ちゃん!と嬉しそうに言った。

たっちゃんが、夏帆が、え?、と言葉を発する。

当然ながら美優ちゃんも、え?と話す。


えっと.....え?、と美優ちゃんは困惑している。

突然お姉ちゃんと言われてかなり困惑している様に見える。

参った、これは本当に参った。

どうするべきだ?


「.....美優.....」


「???.....え???」


美優ちゃんはクエスチョンマークの羅列を作った。

額に手を添える、俺。

マズイ。


「ちょ、ちょっと待って。お兄ちゃん.....どうなっているの?」


俺に近寄って来た夏帆はそう聞いてくる。

夏帆は???を浮かべている。

そんな夏帆に小声で隠し切れないだろうと真実を告げた。

この人の事を、だ。


「.....この人は.....恐らく美優ちゃんの本当の母親だ」


「.....え?.....え!?え!!!!?」


え、え?ちょっと待って。

混乱して来たんだけど、と夏帆は慌てる。

それは当たり前だろうな。

真実を知っているのは俺だけだ。

たっちゃん、も困惑する。


参った。

マジにどうしたら良いのだ。

思いながら俺は.....顎に手を添えた。

感動の再会.....が俺にとっては.....かなりヤバい事態に見える。

マジに、だ。


こんな場所で再会するなんて.....。

思いながら.....俺は。

どうしたら良いのかと顎に手を添えた。

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