第39話 観念の思いと母親との決別、誓い
私は真面目に真っ直ぐに生きる事を選択した。
過去を無いものに出来ないけど.....でもがむしゃらでも良いと思いながら。
とにかく前に進む事を選択したのだ。
それもあって.....私は夏風邪を治療してからの退院後、母親の墓に真っ先にやって来てから.....母親の墓を見つめる。
母親の観念に囚われている.....私が卒業する為に、だ。
「.....夏帆がこの場所に来るなんてね。どうしたんだい?」
「.....私は母親の観念から決別する為に来たんだ。パパ。これだけじゃ無いよ。これからするのは」
「.....一歩って事だね」
智久さんは笑みを浮かべる。
俺も.....複雑ながらも少しだけ口角を上げた。
この母親は私達の近くに居ない。
住職も知らない様な寺の墓で眠っているのだ。
私が殺した母親。
でも何時迄も束縛されていては.....私の将来の夢を叶えられないだろう。
その為に今日は.....母親の墓に最後という事で来た。
私は手を合わせる。
「.....嫌いな母親だったけど。仮にも育ててくれた事に感謝します」
そして私達は立ち上がって頷き合って。
住職に挨拶をしてから寺を出た。
もう会う事は無い。
さよなら、私の心のつっかえ。
全てにさよなら、だ。
☆
「で、どうしようか」
「.....そうですね.....ご飯でも食べますか?」
「良いね。じゃあ何処かお店を探そう」
そんな会話を聞きながら.....帰る為に駅までやって来た。
私は.....その様子に笑みを溢す。
するとお兄ちゃんが私を見てきた。
「夏帆。大丈夫か」
「.....大丈夫だよ。有難う。お兄ちゃん」
「.....大きく飛躍したね。夏帆」
パパがその様に話す。
私は.....そうだね、と返事しながら.....真正面を見る。
海が見えた。
「.....」
私は母親にかなり苦しめられた。
だけど.....私は今日、決別して.....母親の墓にサヨナラを告げ。
今に至っている。
心のつっかえが少しずつ消えていく。
思いながら.....私はお兄ちゃん達を見た。
「.....有難う。今日、付き合ってくれて。お兄ちゃん。パパ」
「当たり前だね。家族なんだからね」
「そうですね」
私は笑みを浮かべた。
すると電車がやって来て.....乗り込んだ。
この土地にはもう来ないだろう。
思いながら外の景色を無意識に.....焼き付けていた。
☆
私とお兄ちゃん、パパは街にやって来た。
それから.....小洒落たカフェに入ってみて.....色々食べ。
帰って来た。
巫女さんが迎えてくれる。
「.....お帰りなさい。皆んな」
「.....ただいまです。巫女さん」
「.....母さんただいま」
その声を受けながら巫女さんは私を見た。
それから.....手を握ってくる。
目の前で膝を曲げて私を見てきた。
そして言葉を発する。
「おかえり。夏帆ちゃん」
「.....はい。ただいまです」
さて、じゃあ皆さん。
三時のオヤツにでもしましょう。
と立ち上がって手を叩く、巫女さん。
私は.....頷いた。
パパもお兄ちゃんも頷く。
「.....今日は何かお菓子が有るんですか?」
「貰ったお菓子が有りますよ」
「母さん。紅茶を入れてくれる?」
「わかったわ」
家族の日常。
私が変わるだけで.....こんなにも明るく見えるんだな。
思いながら.....私は居ると。
お兄ちゃんが手を差し伸ばしてきた。
それから笑みを浮かべてくれて言ってくる。
「夏帆。上がろう」
「.....そうだね。お兄ちゃん」
そして私は玄関を上がった。
それはまるで.....決意したかの様に、だ。
私は.....玄関を見て。
そして.....リビングに入った。
☆
「来週の火曜日、テストだっけ?」
「そうだよお兄ちゃん。テストばっかりだけどね」
そうだよな、と苦笑する。
テストと言えばこの時期は大体、期末考査辺りになる。
私は.....顎に手を添える。
そして考えていると.....パパが私を見てきた。
「準備は大丈夫かい?」
「.....うん。パパ。大体は勉強しているからね」
「.....そうか。無理はしない様に勉強しなさい」
「はい」
にしてもまたテストか、とお兄ちゃんは嘆く。
私は.....今回のテストを重要視にしている。
臨床心理士を目指しているのだ。
テストの成績は良い方じゃ無いと駄目だから。
将来に響く。
「.....夏帆。無理はしないで.....やろうな」
「.....だね。お兄ちゃん」
私は巫女さんとパパを見ながら.....頷く。
それから.....勉強の事を考えた。
上手くはいっているとは思うけど、復習しておこう。
思いながら、だ。
☆
私は道具を見た。
道具っていうのは.....昔のスタンガンとか。
それはもう必要無いので.....捨てるつもりでいた。
もう.....私が使う事は無い。
私は成長したから。
「.....弱い私を誇示する為に.....持っていたんだよね」
思いながら.....道具を見る。
夕焼け空を見ながら.....ゴミ袋に突っ込んだ。
それから.....もう捨てるものは無いかと探していた時だった。
あまり見ないベッドの下。
そこに.....何か一冊有る。
「.....?」
開けてみるとそこには.....かなり古ぼけた写真だが。
母親と共に写っている私が居た。
私は眉を顰める。
若い頃の母親の写真だと思うけど.....嫌気が差した。
母親は私を抱えて笑顔だったけど。
「.....こんな事も有るんだね」
何故これが床下に有ったかは定かでは無いが。
私は.....眉を顰めつつ.....ゴミ袋にアルバムを捨てた。
それから.....手を叩く。
さよならお母さん.....私は.....前に進みます。
そう祈る様に思いながら.....目を閉じてゴミ袋に手を合わせた。
何でそんな事をしたかって?
一応.....私を育てた母親だから、だ。
だから手を合わせた。
とっておいても良いかも知れないが.....私にとっては絶望しかならない。
捨てるしか無いのだった。
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