第15話 松添龍、佐賀夏帆、佐賀宗介

同じ様に作った箱を見せて。

スタンガンのモデルと説明してから。


安心した家族を置いて私は勉強すると二階に上がった。

それに悶えて、パソコンを見る。

お兄ちゃんに今日は.....お兄ちゃんに.....心配されたぁ!!!!!

ウフフフフフフフフ!!!!!


あーっはっはっは!!!

やっぱり私は全てをお兄ちゃんの為に。

お兄ちゃんを意のままに操る為に、先ず.....外堀を埋めていく。

そのまま私の作戦の布陣を作り、チェックメイト状態にするのだ。


「うふふふふふ.....ああ.....うふふふふふ」


駄目だ、股間が濡れてくる。

余りにもゾクゾクして最高過ぎる。

一緒に落ちていくという事が余りにも楽しみ過ぎて、だ。

狂いそうな程に愛おしい、全てが。


間も無く、4月のテストが有る。

お花見とかバカな真似をしている連中も居る様だが。

私はそんな事はしない。

何も生まれないから、だ。


「.....5月.....ゴールデンウィーク.....運動会.....さてどう埋めて行こうかな、予定」


私は予定を見ながら、鼻歌交じりに余裕の表情を浮かべた。

お兄ちゃんは今、何をしているのだろう。

その事を考えるのが楽しい。

私は本当にお兄ちゃんの為に、だから。


だが、私はそんな中で油断した。

4月に入学式を経て入って来た女。

その女がお兄ちゃんに近付き、やけに親密な感じになって行く事を、だ。



翌日の土曜日の事だ。

朝早くからお兄ちゃんが準備していた。

そして一階へ降りようとする。


「宗介?何処に行くの」


私が慌てて表に出ると、宗介が慌てながら何処かへ行こうとしていた。

聞くと、ここ最近入った本の研究会の用事が有るらしく。

確かにお兄ちゃんはほんの研究生だ。

だから何処かに行ってもおかしくは無い。


「.....という事で、ちょっとだけ外出て来る」


「.....ふーん。別に良いけど、可愛い女の子とか居るの?」


「可愛い女の子!?居ねぇよ.....」


そっぽを向きながらの返事だった。

私は眉を顰める。

それはつまり、女が居るという事だ。

また障害か、取り除かなくてはいけない。


「取り敢えず、直ぐ帰って来るから」


「.....気を付けて」


私はお兄ちゃんを後からスマホを用いて追跡する事にした。

お兄ちゃんが変な糸に絡まったりしない様にしなければいけない。

絶対にそういう事は無いとは思うが。


「.....」


部屋の中で、お兄ちゃんのGPSを追跡する。

そして位置を割り出し、今の場所が近所の市民プール前だと判明した。

私は直ぐに万が一用にスタンガンなどを準備してそして追跡を開始する。


「.....待っててね。お兄ちゃん。邪魔なモノは排除してあげる」


精神を壊す為の、外からの傷を負わせない様にする為の道具。

拷問器具を持って、今回は山下の格好では無いありのままの姿で準備して歩く。

何故かと言われると、目が若干腫れだした。

このままではマズイと思って仕方が無く、だ。


「.....」


そのまま部屋を閉じて、お兄ちゃんの追跡を開始した。

万が一に備え、他の女に取られる様ならその全てを排除しなければいけない。

この前は失敗したが、今回は絶対に仕留める。

その決意を露わにして階段を降りた。



近所の市民プール。

その前にお兄ちゃんと誰か。

四人集まっている。

あの少女は小学生の様に見えるが.....高校生か?


私は眼鏡を掛けながら、双眼鏡でよく確認する。

すると、連中とお兄ちゃんが確認してから動き出した。

私は直ぐに追う。


「いやー。にしても君がこの文芸部に入ってくれて助かったよ」


「.....そうっすか?」


「そうだよ。文芸部は廃部の危機が有ったからね」


その様に、会話している四人。

気になるのはあのチビだ。

私はそのチビの様子を伺う。


「所で」


チビがニコニコしながらその様に話した。

そしてお兄ちゃんを見上げながら言い出す。


「宗介は今日はどんな本を買うの?」


宗介.....。

巫山戯るな、私以外に宗介?

意気がるなクソガキが!!!!!


私は激昂しながら、見つめる。

絶対に精神崩壊させてやる。

私は双眼鏡を握りしめながら、付いて行った。


そのまま、連中とお兄ちゃんはファミレスの中に入って行く。

そして私もファミレスに入った.....のだが。

目の前に同じ様にファミレスの席に案内されている松添が居た。


多少の誤差でお兄ちゃんは気が付かなかった様だが。

クソッ、何でこんなに邪魔が入る。

睨みながら気付かれない様に居たが。

視線に気が付いたのか、松添がコッチを見て目をパチクリした。


「あ.....えっと、ちょっと待って下さい」


店員に声を掛けて手を上げてから松添がこっちに来た。

そして私に声を.....掛けてくる。


「.....君、どっかで会った事有る様な.....感じ」


「.....無いですけど」


「声まで似てる。山ちゃんに.....」


しつこい。

私はその様に思いながら、早く逃れようとする。

が、松添が腕を掴んできた。


「やっぱり貴方!山ちゃんだよね!?」


私は松添の言葉に冷や汗をかいた。

バレた?.....バレたのか?

なんてカンの良さだよ、クソッ。

このままでは計画が遂行出来ないし!


「ね?良かったら.....一緒にお喋りしない?」


「.....お断りします」


この女の精神を壊せば良かった。

その様に後悔しながら、松添を見つめる。

忌々しいと思いながら。

溜息を吐いて、取り敢えずは仕方が無いかと椅子に腰掛けた。


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