夏帆サイド
第14話 私の全ての計画
お兄ちゃんにスタンガンの存在を知られてしまった。
何故私は箱の中に直してなかったのかな!
私自身に腹が立つんだけど.....!
でも何にせよバレてしまったの事実。
早急に隠し通さないと!
巫女さんがノックしたのが突然の事で.....その際に道具の手入れをしていて仕舞い忘れたとしか思えない。
油断したんだろうけど.....でも駄目だ、これは本当にマズイ気がする。
お兄ちゃんも巫女さんも怪しげな目付きをしている。
バレてしまったら計画が台無し。
絶対に守り通さなければいけない。
そんなお兄ちゃんは訝しげな目で見つめてくる。
「.....隠したそれを見せてくれ。夏帆」
「.....これは.....大丈夫だよ.....宗介」
「.....夏帆ちゃん。危ないモノを持っている訳じゃ無いよね.....?」
二人は立ち上がって、やって来る。
私は必死に後ろ手でスタンガンを隠そうと指を動かす。
スタンガンを後ろポケットに入れた。
汗をかきながら、お兄ちゃんに和かに話す。
「宗介.....えっと、女の子の部屋の秘密を見るのは.....」
「じゃあ、私なら良いわよね?夏帆ちゃん」
「.....」
巫女さんめ。
余計な真似を。
どうする?このまま二人を気絶させる?
だけどそれは駄目だ。
気絶させたら絶対に怪しまれる。
何をしたんだ、的な感じで。
「.....夏帆。お願いだ。隠したそれを.....見せてくれ」
「.....」
お兄ちゃんが必死な悲しげな顔をして迫って来る。
私は困惑しながら.....必死に考えた。
そして一つの結論に至る。
ポケットに万が一の時の為に入れていたネットで買った液状睡眠薬。
それで.....巫女さんを利用しよう、巫女さんだけを気絶させようと思った。
そしたらお兄ちゃんの気が一時的にでも逸れるだろうと思った。
安物の裏ルート睡眠薬だけど問題は無いと思う。
「.....分かった。見せるわよ.....宗介」
「.....」
「.....巫女さんに渡すから」
そして巫女さんを呼び寄せてそのままスタンガンを渡す様にした時。
巫女さんの手に睡眠薬を注射した。
そのまま、え?と言って倒れ込む、巫女さん。
その様子を確認して、私は慌てる様子を見せる。
「宗介!巫女さんの様子が.....おかしい!熱でも有るかも.....!」
当然の事だが、すぐに駆け寄って来た。
お兄ちゃんはびっくりしながら、何が起こった!?、的な目をしている。
そして直ぐに介抱する様に去って行く。
良かった、予定通りだ。
全てはお兄ちゃんとの永遠の愛の為にたまには犠牲になってもらいます。
お世話にはなっていますが.....巫女さん。
「すまないが、後で見せてくれ。その.....変な装置みたいなやつ」
「分かった、大丈夫だから!早く連れて行って!」
私は心の底から慌てる様に見せ掛けながら、指示を出す。
お兄ちゃんは眠っている巫女さんを連れて部屋から出て行った。
そして私は直ぐに渡す筈だったスタンガンの偽モデルを作る。
ダンボールで、だ。
私は工作は昔から大得意分野。
そもそも工作が得意じゃ無ければおかしいしね。
全部はお兄ちゃんの為に、だ。
「.....お兄ちゃんの為に.....♡」
何時も何時も何時も。
何時だって振り向いてもらいたい。
色々予想外の事が有ったが、私の計画はどんどん進んで行く。
全てはお兄ちゃんを落とす為に、だ。
ああ、また興奮してくる。
「さて.....」
パソコンに入っている、計画書を見る。
それはお兄ちゃんを私の監視下に置き、山下として親密度を深めていく。
好きになってもらって、お兄ちゃんが私以外に振り向かないぐらいにする。
それが.....お兄ちゃんへの支配。
全ては私とお兄ちゃんの為に、だ。
私は服を整えながら、直ぐにお兄ちゃんを追った。
いつか.....巫女さんも邪魔になる時がくる。
その時は.....消去も視野に入れておかなくてはいけない。
☆
「大丈夫!?母さん!」
「巫女さん!」
必死に呼び掛ける様にする、私。
睡眠不足による影響だとみんな思っている。
巫女さんは液体の睡眠薬でで気絶しているだけだが。
致死量では無いので、直ぐに目が覚めると思う。
「熱は無かった。多分.....疲れているんだろう」
お父さんがそう言う。
私は涙を流しながら頷きつつ巫女さんに呼び掛ける。
まぁ、この涙もほぼ偽装だけどね。
「.....しかし、何でいきなり.....」
「.....疲れてたんだと思うけど、多分」
「お前の事で.....悩んでいるんだろう.....な。多分」
「.....優しいね、巫女さん」
でも早くお兄ちゃんと二人きりになりたい。
巫女さん、お願い、早く目覚めて。
私はその様に願う。
すると、巫女さんが目を開けた。
「.....う.....」
「母さん!大丈夫!?」
起き上がる、巫女さん。
私はその際に流し目で右手を見る。
刺した跡は目立ってないね。
良かった。
「.....何か突然眠たくなってそのまま.....寝ちゃったわ」
「.....疲れているんだと思います。巫女さん」
「そうだと思う。寝なさい。巫女」
でも.....と心配そうに私達を見てくる巫女さん。
そんな中で私は心配する感じを見せながら、頷く。
心の奥で事が上手く行っている。
その様に思いながら、巫女さんに心の底で少しだけ笑いながら向いた。
「.....でも.....さっきの件.....」
「後で宗介に渡します。危ない物じゃないですから」
嘘だけど。
でも本当にバレたら困るモノだから。
次から本当に気を付けよう。
その様に思いながら、スタンガンを握った。
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