青い谷の魔女の話

青谷因

序文 青い谷の魔女は死んだ

青い谷の魔女は死んだ。

だがその呪いは、今もって続いていた。


魔人の男は、口癖のように言っていた。

「お前たちのような下僕の代わりはいくらでもいるが、大魔女様はこの世にたった一人、唯一無二の偉大な存在なのだ」

魔人の男も、結局は魔女の呪いにかかって、命を散らした。

魔女を支えた守りの柱が失われると。

彼女はあっけなく、もろく、崩れ去ったのだ。

自らの内なるところから、噴き出した業火に身を焼かれて。

その熱に浮かされて。

最期に何を願い託したのか。


いや。

願いなどではない。

残ったのは、ただの呪いだった。


果たして誰が、この呪いを断ち切ることができるのか。


今もって、だれも分からない。

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