第16話 不利
「いでよ! 夢を叶える騎士の鎧! ドリームのナイト・アーマー!」
救世主様は夢の剣騎士の鎧を身にまとっていく。
「どちらの夢が強いか勝負だ! バッド・ドリームのナイト・アーマー!」
コクムは悪夢の剣騎士の鎧を身にまとっていく。
「絶対におまえを倒して、姫を目覚めさせてみせる! くらえ! ドリーム・ソード・スラッシュ!」
「私の悪夢が、お前如きの夢に負ける訳がないのだ! 落ちろ! 悪夢に! バッド・ドリーム・ソード・スラッシュ!」
両者の必殺技が激しくぶつかり合う。
「互角!? なかなかやるな。だが、これしきの事で私の悪夢を破ることはできないぞ。おまえの夢は私に壊される運命なのだ!」
「負けるものか! 俺の夢は誰にも奪われない! 俺の夢は俺だけの夢だ! 決して諦めたりするものか! うおおおおおおー!」
救世主様の精神力が高まっていく。
「なんだ!? この救世主様の力は!? どこにこんな力が!? うわああああああ!?」
救世主様の必殺技がクロムの攻撃を引き飛ばす。
「さあ、俺の勝ちだ。姫を返してもらおうか。」
「それはどうかな?」
「なに?」
「アシッドレイン!」
突然、雨が降ってきた。雨が当たった所が溶けていく。
「これは酸性雨!?」
「クロム、後は我々にお任せろ。」
「おまえたちは!?」
「我々は姫様を守るための剣騎士。」
そこに5人の剣騎士たちが現れた。水の剣騎士ウスイ。氷の剣騎士ヒムロ。風の剣騎士ハヤテ。土の剣騎士ミヤゲ。雷の剣騎士シデン。
「姫様の命令だ。犯罪者の救世主様は捕まえる。抵抗するなら、姫様は救世主様を殺しても構わないと言っている。」
「騙されるな! 姫はクロムの悪夢の力によって操られているんだ!」
「戯言を。救世主様、苦し紛れのいい訳ですか?」
「違う! 俺の言っていることは真実だ!」
しかし、救世主様の声は剣騎士たちには届かない。
「まさか!? 剣騎士たちも、クロムの悪夢に操られているのか!?」
「その通り。こいつらも姫同様、俺の悪夢の操り人形だ! おまえが何を言っても聞く耳を持たないのだ。」
「卑怯だぞ!?」
「クックック、卑怯は俺にとっては誉め言葉だ。やれ! 救世主様を殺すのだ! 剣騎士ども!」
「おお!」
「クソッ。俺はここで殺されてしまうのか!?」
悪夢に操られた5人の剣騎士たちが救世主様に襲い掛かる。救世主様は絶体絶命のピンチ。
「ファイア・フレイム!」
「炎だと!?」
その時、激しい炎が部屋の中で燃え盛る。
「救世主様は、ここから逃げろ。」
「おまえは!? カエン!?」
現れたのは炎の剣騎士カエンであった。
「ここは俺に任せろ。」
「でも、相手は5人、おまえ一人では!?」
「これも姫を守る剣騎士なのに、姫を守れなかった私たちで解決する問題だ。」
「カエン。」
「頼む! 救世主様は姫を助けてくれ!」
「分かった! 死ぬんじゃないぞ! 姫は俺が必ず助ける!」
「ありがとう。救世主様。」
救世主様は、この場を脱出した。
「たった一人で、我ら5人を相手にするとは!? 正気とは思えん!? 死ぬ気か? 炎の剣騎士よ。」
「覚悟の上だ! これも姫を守るための剣騎士なのに、姫を守れなかった自分の責任だ。せめて、おまえたちを正気に戻してみせる!」
炎の剣騎士カエンの捨て身の攻撃が始まろうとした。
「残念。あなたは既に悪夢の世界に招待されています。」
「う、動かない!? 体が動かない!?」
「少しずつ悪夢で洗脳してあげましょう。いい悪夢が見れますよ。クックック。」
「ひ、姫様・・・。」
炎の剣騎士カエンは、悪夢の剣騎士クロムの術中にはまってしまった。
「さあ! 剣騎士たちよ! 救世主様を殺しに行くのです!」
「はっ!」
剣騎士たちは悪夢の剣騎士の命令で、逃げた救世主様の後を追う。
つづく。
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