敵だらけのこの世界で
いんてぐらる
第1話〜死ねばいいのに〜
「死ねばいいのに」
私には嫌いな人が多い。
無駄に他人と比べたがって、比べたら比べたで、卑屈になったり、妬んで貶す。そのくせ独りになるのが怖くて、群れでしか心地よく息が吸えない人間。そんな人があまりにも多すぎる。少なくとも、私の周りに多数。
学校で嫌な奴を見ては毎度毎度、死ねばいいのにって思ってしまう。思うだけで、決して口に出したりはしない。
でも、一人で家の自室にいる時はそう呟く。死ねばいいのにって。
夏休み明けの課題考査が終わって、久々に少しゆとりが持てる。
ママが買って来てくれた10個入りのちっちゃいチョコクロワッサンをかじり、デスクチェアに腰掛け、ちょっと心の整理整頓をすることにした。
私の人生構想は中学生からグチャグチャだ。本当は普通に中学校に通って、好きな事して、やりたい事を考えて、その上で高校に進学したかった。
でももう遅いし、考えるだけ無駄。
無駄なのは分かってる。それでもやっぱり、悲しい過去を顧みて
「こんなに辛い思いをして、傷ついた私カッコいい」
って売れないダークファンタジー小説の主人公風な感覚で心を満たしたくなる。それが気持ちいい。それはかなりの依存性があって、後で虚しくなるけど、やめられない。
私をそんな風にしたのは結局私だけど、それを助長した周りの人たちにも原因がある。
あの頃の私はきっと弱かった。今と同じように。
嫌な人はどこへ行っても必ずいる。だから逃げてもしょうがない。こう言う気持ちで割り切れなかった自分が憎い。
私は逃げたんだ。逃げて、中学生生活のほとんどは不登校で塗りつぶした。
そうするものだから、皆んなが高校入試期間の時には当然、私は酷く苦労した。
まず、私の周りではほとんどの人が通うような普通校の全日制には、登校日数が足りなくて受けられなかった。
そうなるのはまあ、大体覚悟していたからすんなり受け入れられた。
覚悟は覚悟でも、足りてなかったのは、正に今のこの現状に対しての覚悟だった。
結局私は、今年の春から地元の普通校の定時制へ通うことになった。地元ではそこの高校が唯一だから、田舎で学力に乏しい地元で育った私たちのほとんどは、そこの高校の全日制へ通うことになった。
定時制に渋々来た私は、少しは新しい出会いを自分なりに期待していた。
でも、期待した私がバカだった。
ただでさえ苦手な人間関係をもっと苦手にさせるような人が、中学時代に次いで当たり前のように現れた。変に私にくっ付いてくるメンヘラちゃん。幼稚臭いスクールカーストの独裁者。
加えて、セクハラしてくる数学教師。
生徒間ならまだしも、教師までともトラブルが発生するとは流石に想定外だった。
あれこれ考えているうちにクロワッサンを平らげてしまっていた。体重は気にしない方だから私はどうって事ないけど、私と同じくらいの年頃の女の子は結構ナーバスになるんじゃないかな。
時間もさっき日付が変わったばかりの頃になった。全日制の皆んなは朝早くのバスに乗らなきゃだから、今すぐにでも寝るんだろうなぁ。
私が定時制に来て良かったなって思えるのは、登校時刻が午後なのと、優しいマスク君と、ハイダさんに出会えたことくらいだ。
私は何の意味もなくスマホを見たら、見慣れないユーザー名の人から一通のメールが来ていた。
『まーさん、久しぶり』
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