生の鼓動

@NARS

第1話

生の鼓動

 

 波の音が聞こえた。波は何度も何度も砂浜を襲い、その度に海に戻っていく。永遠と繰り返される光景。それが僕には海の心臓の鼓動に聞こえた。

 ふと目を開けてみる。そこには青い、蒼い、碧い、全てを混ぜたアオがあって、僕の右斜め上にいる太陽に照らされて、ダイヤモンドのように輝いている。こんな海もあと数時間で光を失って、闇を纏う。でもまた時間が経てば、また光を取り戻すのだ。そんな光の主に目を移す。己の威光を僕の眼球にさんざんと見せつけてくる。光がなければ、生はない。全ての命を生み出す王様気取りの王様に乾杯とメロンソーダで乾杯をした。中の炭酸が消えては現れ、現れては消えた。光に当てられたそれらは真珠のようだった。

 

「……」

 

 こんな暑い季節も寒くなったり、生温かくなったり、少し肌寒くなったりを繰り返す。こんな壮大な世界でさえ鼓動を打って、生きていて、メロンソーダさえも今真剣に生きている。僕らのように単純な毎日を繰り返している。でも色あせず、輝きを放っている。そんな姿に感化されていた。毎日を繰り返すことは簡単だけど、そんな行為自体、本当は素晴らしいことなのではないか。そう思うと、口を衝いて言葉が出た。

 

「生きるって案外

悪くないのかも」      

 

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