その後の話2
古代文明が生み出した遺物スフィア、それは今を生きる人々にとって超便利アイテムとして重宝されていた。飛空艇という大型のものから、消しゴムのような小さなものまで、その形や大きさは様々だ。だが大抵は、厳重な防護を固めた遺跡の中にそれは眠っている。
しかし、そんな場所に眠っているスフィアを、遺跡から発掘して生計を立てる者達がいた。
これはそんな者達、三人のトレジャーハンターのおまけの物語であった。
――臨海の浜辺遺跡 シーガイア
だだっぴろい海に面した遺跡にきたニャモメ団の面々は、遺跡から眺められる雄大な景色を前にしてぼーっとしていた。
「終わったんだね」
「ううん、これからきっと始まって行くんだよ、ヒメカちゃん」
何やら分かり合ったような顔をしながらヒメカとポロンが水平線を見つめていた。
それにつっこみを入れるのはミリだ。
「いやいや、竜宮遺跡で起きた騒動の半分は連中の自業自得だったじゃん。玉手箱あけて、国民全部がお年寄りになったのは、ウミガメ大臣のうっかりが発端だったでしょ」
「あれは大変だったねー。玉手箱に煙を封印する為の鍵が、竜宮の国に散らばって行っちゃって集めるのに苦労したよー」
ケイクもいつもよりちょっと疲れたような顔をしながら、流れてもいない汗を袖で拭う仕草。
「しかも、参謀のヒトデの野郎がこの機会に、クーデター企んでて、防ぐのが大変だったし」
「わかめの森の逃走劇は、隠れる所ありすぎて苦労したよねー」
「で、赤風団の連中が突然出張って来て、せっかく集めた鍵を強奪していくわ、悪人が横やりを入れてくるわだし。もうあそこ行きたくない」
「あはは、大丈夫だよー。行けるのは百年に一度だって行ってたしー」
「そう言いつつも、そうならないのがこの世界! この間、五十年に一度の大雨と、百年に一度の積雪が連続クリティカルヒットしたじゃん。次はきっと百五十年だか二百年だかに一度のハリケーンが来るんじゃないの!?」
騒然なフラグ台詞を発したミリに。ポロンとヒメカが「ぴゃ!」「あっ!」と声を出す。
嫌な予感がしたミリは、視線を固定したまま。
「……帰るよ、皆」
「あー、今回は回収早かったねー。また出番かなー」
「そっちの方向を見もせず、コメントすな。まだそうだと決まったわけじゃないじゃん、違うかもしんないじゃん!」
ゴゴゴゴゴ
「でも、ほらー。何か大きな物が移動してくる音が聞こえてるしー」
ビュオオオ
「しかも、もう数の音とかも聞こえちゃってるねー」
「ちくしょう! ニャモメ団に安息の単語はないんか!?」
せめてもの抵抗としてゆっくりと、音の正体へと視線を向けていくミリと、さっさと方向転換するケイク。
だが、しかし、その視線の先に会ったものは……。
「あ、乙姫さんだ。また会えたね。ポロン、嬉しいなっ」
「あ、お久しぶりです。でも、どうしてそんな鬼気迫った表情してるのかな、乙姫様。誰かを探してるみたいだけど……」
「うーーらーーしーーまぁぁぁぁぁぁ! 貴方を殺して私も逝くわ! 不倫は許さないわよぉぉぉぉぉ」
竜宮城にいるはずの乙姫様がヤンデレ化して、海の渦にのりながら地上の世界を目指していた。
「予想よりめんどくさいパターン!?」
「考えてたのとは違ったけど、確かにフラグ回収だねー」
トレジャーハンター ニャモメ団! 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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