第42話 終焉の王宮遺跡 ゲート
遺跡を攻略し、ガーディアンを倒して文明の遺物スフィアをゲットする。それがトレジャーハンターのするべき仕事である。
しかし、今そのトレジャーハンター達の腕を試すかのように、世界の危機が訪れようとしていた……。
――王宮遺跡 ゲート
二ャモメ団の三人は、王宮遺跡エントランスを抜けてゲートにたどり着こうとしてていた。
「右と左、分かれ道どっち行く?」
「はいポロンちゃんはー、どっちがいいと思うー」
左右に選択肢を用意する分かれ道にて、ミリとケイクは天然だけど割と直観とかはすぐれてるポロンちゃんに答えを尋ねることにした。
「ふぇ? うーんとうーんと、どーちらーにーしーよーうーかーなっ。……壁さん?」
それに対してポロンちゃんは、どっちかしか示さないはずなのになぜか第三の選択肢を示してみせた。
「壁行けないから。あー、どうする? 両方行ってる時間ないし、分散できる状況でもない。……もういいや、とりあえず、右っ!」
壁は無理、と判断してミリ達は右の通路へと飛び込む。
……グシャアッ!! ヒャハハハハハハハハハハハ
「おわっぶ、あっぶなっ。なにこれ、見ただけで呪われそうなもんが前方でっ。ってことは左が正解!?」
右は無理、ということで進路変更。左の通路へ飛び込む。
……ドシャアッ!! ケラケラケラケラケラケラケラケ
「ぐわっ……何か言葉にできないもんが薄気味悪く目の前を通り過ぎていったんだけどっ!? ちょっ、なにこれどーいう事っ!!」
「どっちもハズレみたいだねー」
「なにこれ理不尽! 前から思ってたけど、あの悪人ほんと性格悪っ!!」
エイリスより性格悪っ! とこの場にいない一国のお姫様を定規にして悪人を非難するミリの横でケイクは第三の選択肢を調べていた。
「なるほどー、そう言う仕掛けかー。ぽちっとなー」
ゴゴゴゴとか、言いながら第三の選択肢が左右に開き隠し通路が出現した。
「ぴゃっ、壁さんが開いて真っ暗な通路さんが現れたよ。ポロンびっくり!」
「まさかのポロンちゃん正解!?」
「めちゃくちゃな様に見えてー最後に正しいのを判別できちゃうのがポロンちゃんだよねー」
やっと一息、と思うが矢先……。
性格の悪い選択肢はまだ続くようだった。
「上か下か、どっちだ」
階段が二つあった。
「上か!?」
上の階段を見る。
ギュルギュルギュルギュル……ガリガリガリガリ
「何かめっちゃ上の方から、閉じ込められた何かが必死に出ようとして扉を引っ掻くような音がするんですけど!? ……てっことは左!?」
下の階段を見る。
コロコロコロコロ……キ゚シィッ ギシィッ
「何か、重力を無視して下から空き缶でも転がってくるような音が、てか、何かがか軋む音が!?」
「これも両方ハズレみたいだねー。とするとー」
ミリとケイクはポロンちゃんを見た。「どっちだと思う?」「正解をどうぞー」
「ふぇ、えーとここ……?」
階段の前の床を調べてみた。
「仕掛け床から第三の階段が……、あいつこれ性格悪いなんてもんじゃないし! 思考そのものが悪なんですけど!」
「なんたって、あだ名が悪人だもんねー」
そうこうしているうちに、サクヤが足止めしていたはずの暗黒団仮面チルドレンズが追いついてきた。
「くそっ、囲まれたっ。てか、仲間何人いんのよ。こんなにいんなら、今まで何で一人でやってたわけ」
「わぁー、たくさんいるねー。いくらサクヤさんでも一人じゃ無理だったかー」
「わわわわ、挨拶が追いつかないよっ。皆おそろいのお面してるねっ。仲良しさんでちょっとうらやましいよ」
「だあっ、こんなところで時間喰ってる場合じゃないのに……」
ニャモメ団の三人が、敵に囲まれつつあるその瞬間
「焼き尽くせ! ファイアー!! パワーアップした私の武器の威力、その身をもって味わいなさい」
『ルナさん、赤風団の力を見せてやりましょう!』
「……ルピエに悪い影響が出ないといいんだけれど。敵とはいえ一応人だからね、黒こげにしないようにしてほしいね」
かけつたのはライバルだった。
「赤風団の火炎女! とルピエに、一応ガルド! なんであんたらがここに……?」
思いがけない救援にミリが尋ねる。
「あの男にちゃんと借りを返しに来たのよ! 別に手助けしに来たわけじゃないんだからっ!」
そして、駆けつけたものは他にもいた。
「チカさん、憧れの二ャモメ団さんの援護が出来ます! 張り切っていきましょうねっ!!」
「ったく、なんで俺までこんな事に。離れんじゃねーぞ、後が面倒だ」
新人トレジャーハンターのシロネ団だ。
「そ、それって、プロポーズ的な、つり橋効果が二人の絆を高め、……あわわわ」
「ちげぇっ!!」
夫婦漫才っぽいものを繰り広げながら拳闘士のチカを前衛に奮戦する。
「ほら、さっさと行きなさいよ。位置的にあんた達がゴールに一番近いんだから。ちゃんとあたしたちが燃やす分は残しときなさいよ! こいつらやっつけたら後からぶん殴らせてもらうから」
「君は本当に素直じゃないよね」
『気をつけてくださいね』
「が、頑張って下さい応援してます。ついでに後でサインとかも……」
「おいフィナ! よそ見すんな。……ったく。さっさと行かせてやれよ」
ライバルと新米。それぞれにかけられた言葉を背に、二ャモメ団の三人は目の前にぞびえたつ、ひと際大きな扉を開めがけて走っていく。
「何か知らない奴もいたけど、やったろーじゃん!」
「燃やす余地は残してあげないとねー」
「ポロンもめっ、ってするよっ!」
扉の向こうには、世界の命運をかけたラストバトルの始まりが待っていた。
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