第31話 友愛の記録遺跡 メッセージ
古代文明が生み出した遺物スフィア、それは今を生きる人々にとって超便利アイテムとして重宝されていた。飛空艇という大型のものから、消しゴムのような小さなものまで、その形や大きさは様々だ。だが大抵は、厳重な防護を固めた遺跡の中にそれは眠っている。
しかし、そんな場所に眠っているスフィアを、遺跡から発掘して生計を立てる者達がいた。
これはそんな者達、三人のトレジャーハンターの物語であった。
――記録遺跡 メッセージ
やたら入り組んだ分かりづらい道を、二ャモメ団の三人は歩き終えた所だった。
その先頭には道案内で+(プラス)一台の機械が移動していた。
「やっとついたか……。ロボがなかったら今頃迷ってたかもね」
「アゲハさんの言った通りだったね今回はー。雇って良かったねー」
ここまでの道のりに思いをはせつつ、嘆息混じりに言葉を発するミリにケイクが同意する。
『ゴアンナイ、シュウリョウ。ゴアンナイ、シュウリョウ。』
「道案内さん、ありがとね。ポロンありがとうのお礼になでなでするっ」
ポロンちゃんは、+(プラス)一台のエキストラこと樽型機械の頭部をなでなで。
『コウエイデ、ゴザイマス』
礼を返すその機械は、屋敷遺跡ホームにいた機械の一台だった。
料理長兼案内係の機械は二ャモメ団から案内賃をもらって元の道へ去っていく。
「で、屋敷復興支援金を払って、遺跡にたどり着いたわけだけど……」
「小さい遺跡だねー」
「お家みたいな大きさで可愛いとポロンは思うよ」
遺跡のスケールに肩を落とす三人だった。そのままに中へ入る。
「うわ、狭っ。ひょっとしてハズレだった……?」
「とりあえず、調べてみよー」
「スフィアさんあるかなぁ。ポロン頑張って探さなきゃっ!」
「あ、ポロンちゃんはいい子だから歌でも歌ってて」「うん、歌っててー」
思い思いにあれこれ調べたり、見たり、引いたり、押したり、歌ったり。
「あ、何か起動したー。えーと、音声メッセージが一件だってー。ふむふむー、どーするー」
操作パネル調査担当だったケイクが、何かを発見した。
「再生よろしく、どうせハズレだろうけど」
「投げやりだねー」
「まだ、分からないよっ。ポロン頑張る! 頑張って調べるっ!」
「うん、頑張るのはいいけどー。今から音声出すから、ポロンちゃんはちょっと静かにしててねー」
操作パネルらしき(これまた遺跡のサイズに合わせた小さな)物に指を踊らせ、啓区は音声データを再生。
『あー、いざという時の為にこれを残しておくけど。聞いているのはいったい誰だろうね。ルナかな。もしルナだったら、その隣には僕はいないことになってしまうんだけど。それは、少し寂しい結末だね……』
聞き覚えのある声が流れてきた。
「これって、あれじゃん」
「赤風団のあの人だねー」
「ガルドさんだ、ってポロンびっくり! あれ、でも姿が見えないよ?」
音声データだからねー、ときょろきょろするポロンちゃんに教えるケイク。
「どこにいるんだろー」
気付かないで探し続けるポロンちゃん。
「機械ん中。」
ある意味、間違ってはいないフォローを入れるミリ。
『とりあえず、僕が集めたあの事件の情報を話しておくよ。僕の故郷でもあるあの美しい場所が、一夜にして町ごと、町の人達と共に焼き払われてしまった……悲惨な事件の情報をね』
二ャモメ団の三人は顔を見合わせる。
「事件で悲惨だってー」
「あからさまに厄介事の匂いがする」
「でもポロン達お話聞かなきゃ、よく分からないけど、ガルドさんとっても大切なお話してるって思うよ?」
未だに機械の中にいると思っているポロンちょんが、操作パネル台を調べながらもっともな事を言った。
「どうするー? ドア開いてるよー」
親切な事にどこかの遺跡とは違って逃げ道は開いていた。
しかし結局
「今更聞かなかったことになんて、出来るワケないでしょうがっ」
つっこまなくてもすむ事にも、首をつっこむのが二ャモメ団だった。
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