トレジャーハンター ニャモメ団!

仲仁へび(旧:離久)

オープニング ~まだ見ぬ大地へ~



 王宮庭園の一画に立つ大きな石碑の前に三人の少年少女が立っていた。


「待ってて、レジーナ。アンタがビックリ仰天するような冒険いっぱいしてくるからさ」

「それでっ、たくさんたくさん楽しいお話聞かせてあげるねっ!」

「まー、期待してていいんじゃないかなー。ミリもポロンちゃんもー、やってく能力はありそうだしー」


 三人はそれぞれ、石碑へと最後にそう言葉をかけ背を向ける。

 話が終わるのを待っていたらしい、この庭園の主が声をかけた。


「終わった? ならさっさと行くわよ。飛空艇を見繕ってあげた恩、これから返してもらわなくちゃいけないんだから」


 感慨も何もあったもんじゃない言葉に、三人は顔を見合わせる。


「聞いた? これが一国の王女の言葉。世も末だね。命の恩人だからって、エラソーに」

「ふえ、世も末ってどういう言葉だろ。なんだか、悪い感じがするよ」

「明日は世界滅亡かなー。まあ、王女様がこんななのは、今に始まったことじゃないよねー」


 命知らずな言葉を交わし合う三人に、この庭園の主……王女は額に青筋を立てた。


「ひ・く・う・て・い。そんなにいらないんだったら、……しょうがないわね。この話は……」

「いりますいります! いやー王女さまは今日も素晴らしいなー」

「ふぇ、さっきと言葉さんがセーハンタイになってるよ? 不思議って思う。どうしてだろ」

「王女様は可愛いと思うよー。と、褒めておこうかー。女の子はそうやって褒められると嬉しいんだよねー」


 残念すぎる三つの切り返しだった。

 王女はため息とジト目だ。


「もう少しマシな手のひらの返し方がなかったの……? ともかく、アンタ達にしてあげられるのはそこまで。これからは自分たちの力でなんとかしていきなさい。本当はあんな研究をのさぼらせてた私達にも責任はあるけど、王宮内の勢力争い的にずっと面倒を見るってわけにもいかない」

「そんなのジョートーだし! 自分の面倒くらい自分で見られるっての!」

「がんばるよっ。ジョートーさんになって一生懸命がんばるっ!」

「そーそー、大丈夫だってー」


 やや沈痛そうな面持ちをした王女だったが、その言葉をうけ(王女に似つかわしくない)不敵な笑みを浮かべる。


「ふん、言うわね。だったら期待させてもらうわよ」

「すぐに名を轟かせてやるっての! トレジャーハンター ニャモメ団の名をさ!」


 そして、三人はその場を後にする。

 一つの物語を終えて、新しい物語の待つ大地へと。

 その足を踏み出した。


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