30になっても童貞だったので魔法使いになりました。

@nagato2357

第1話 俺の自家発電を邪魔するものはたとえ親でも許さない

どうも!俺、尾奈太郎と申します!

毎日毎日シコリ続けて気づいたら30歳DTの大魔法使いっす!大魔法使いというのはなんの比喩でもなく本当に魔法使い、つまりウィーザードになっちゃったっす!

そう、この男、尾奈太郎30歳、ヒラ会社員はオナニーに熱中し、朝昼晩メシよりオナニー!映画、音楽、漫画....よりオナニー!どれだけ眠くても性欲が絶好調の時は一晩中オナニー!の生活を続け、遂にオナニストから大魔法使いにジョブチェンジしたのである!


それは遡ること1週間前、俺は地獄のようなブラック企業の出勤を終え、いつものように自室で、最近開発したブリッジオナニーに励んでいた、仰向けの状態から腰を高く突き上げ、腕一本、足二本で体を支え残りの手で自らのバベルの塔を遮二無二擦りつづけるという俺の中でベスト3に入る気持ち良さをほこる自慰行為を行なっていた。


「あっ!らめらめらめらめ!イックゥーーー!!」


絶頂タイムが終わり、賢者タイムに突入した俺は天井を見てひどく憂鬱になってしまった。

天井にぶちまけられた俺のジュニア達が、嵐でも通り過ぎたのかというほど、雨漏りのようにダラダラとしたたりおちている。


「ひでぇ、オナニーやってる時は最高だけど、終わった後の処理は賢者タイムに突入してる分、気分がめちゃくちゃ落ち込むんだよな....」


俺は一階の部屋からクイックルワイパーを携え、二階に戻り後処理を始めた。

多分天井をこれで掃除する奴は世界でも2、3人くらいなんだろうな、と思いつつ大方の掃除を終わらせ再び一階に降り風呂に入ろうとすると、隣人に自家発電を悟られないように、音量を大きめにしていたテレビがニュースを報道しはじめた。


「ん?殺人事件?しかも、またこの近くじゃねぇか、天雁町はいつからこんなに物騒になっちまったんだ?」


俺の住むここ、天雁町は最近、放火や殺人、行方不明が相次いで起こっているのである。

俺は風呂に入ることを忘れニュースに目を釘付けにする。


テレビに映る美人アナウンサーは神妙な面持ちで事件の詳細を読み上げる。


「今朝未明、天雁町にある14階建てマンションにて三名の遺体が発見されました。


遺体はそれぞれ別の部屋の住人で、損傷が激しく身元が確認できていません。


「事件発生時刻、周辺でマントのようなものを羽織った人影が目撃されており、事件に関係あるものと考えられています。警察はここ数日、天雁町で起きている事件との関連性を考慮した上で調査を始めている模様です。」


こういうニュースが入ってきた時、男とはいえ独り身にはすごく堪える。

もうこの際だから男でもいい、誰か一緒に居てくれないものだろうか。

心細さに打ちひしがれながら、テレビを消し、風呂の準備を始める。

俺が着替えを取るためにタンスに手をかけた時だった、突然、後ろから澄んだ綺麗な声が俺の名を呼んだ。

「おな、たろー?お前か...賢者候補録に記された132番目のウィザード候補は」

「ッ?!?!!!誰だ??!!?」

そこには切れ長の目が特徴的な小柄な少女が黒いマントに包まれながらそこに佇んでいた。

俺はそこに現れた侵入者にあっけにとられ、後ずさる、いくら小さな女の子とはいえ、自分の家に見知らぬ人間がいたらさすがに恐怖を感じる。

しかも、さっきのニュースを聞いた直後だ、俺の手が微かに震え始める。

「どこから入った?!ふ、不法侵入....警察に通報するぞ」

「そう?じゃあ通報すれば?通報できたらだけど」

俺はすかさず部屋の固定電話に駆け寄り110番を押した...

「......繋がらない、というか電子音さえも聞こえねぇ....どういうことだ?」

「私は大賢者の1人、始末屋パニッシャーの2つ名を持つ魔法使いアイよ、あんたには外部と連絡できないように全ての通信手段を遮断させてもらったわ」

「魔法使い....だと.....」

やべぇよ、とんでもない電波ちゃんが不法侵入してきたよ、ぶっ飛びすぎてる、いまここで包丁で刺してきても不思議じゃないくらいだ、とりあえず、このイカレ女を刺激しないように穏便に出て行ってもらわねえと。

「あんた...魔法使いなんだってな...じゃあ魔法で天井に残った俺のジュニアちゃん達を掃除してみろよ、なぁ?魔法使いなんだろぉ???やってみろよぉ〜」

しまった....好奇心に勝てなかった....煽り口調で魔法要求しちゃったよ。俺のバカやろう!!!


「いいぞ、ファイアボール」


ものすごい衝撃とともに俺のジュニアたち(残党)が天井もろとも炎上しながら外に吹っ飛んで行った。

「はぇ?」

自分でもびっくりするくらい情けない声が出てしまった、部屋には熱気が未だに残り、さっきの魔法とやらの存在が真実であるということを俺に突きつけてくる。

「おまえ....マ?」

「マではない魔法使いだ」

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