僕たち

冲砂 伊織

はじめに

 これは短編小説はおろか、掌編小説でもなく、詩でもない。

 ただの、文だ。

 色々な街で暮らす無数の『僕』たち。それは『僕』であると同時に、誰かにとっての君であり、また別の誰かにとっての彼だ。

 そしてこれは、どこかの『僕』からまた別のそんな『僕』たちへの文だ。

 胸躍る導入部も無ければ、手に汗握る展開も、感動の結末も無い。ただ『僕』たちの日常がそこにあるだけだ。

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