尖閣諸島の戦い
ペンネーム梨圭
プロローグ
海の向こうから敵はやってくる。日本は四方を海に囲まれ、いろんなものが海の向こうからやってくる。
ロマノフの宝事件と東日本大震災から半年が経った。数年前にイージス艦「あしがら」と融合して自分の人生はクソだと思ったがある日、葛城長官の息子の翔太や海保の三神達と出会いずいぶん環境が変わったと思う。
「未来(みく)」
居間に入ってくる袴姿の父親。
「父さん」
返事をする未来。
私は佐久間未来。海上自衛隊の自衛官である。代々続く邪神ハンターの家に生まれたが兄が跡継ぎとして家にいる。自分は跡継ぎが兄になったから家を飛び出して入隊した。そしたら「あしがら」と融合してマシンミュータントになってしまった。マシンミュータントになると二四時間以内に融合の苦痛が来て生身の部分がなくなる。そして就職口も制限される。人間や普通のミュータントと違って乗物の用途は乗物で自分は戦闘艦だから戦闘艦の使い道しかない。就職口だけでなく空港もセキュリティ面でパスポートだけでなくマシンミュータント協会の許可証や融合している乗物の種類を提示した上で制御腕輪をはめて飛行機に乗るのだ。
「東日本大震災が起きてから時空異変が続いている。時空のひずみから時空侵略者がやってくるだろう。そして戦いが始まる」
父は重い口を開いた。
「でもまだそうなると決まっていません」
否定する未来。
「いずれわかる。そうすれば戦争になる。時空侵略者を入れてしまえばその国はボロボロになり衰退か消滅だ。歴史が証明している。我々、佐久間家は七十七代続く院瀬見家(いせみ)の流れを汲む。院瀬見家の初代当主は空の彼方からやってきた、天人から自在に空を飛び、その怪力で魔物を引き裂き、絶対零度の凍てつく能力で周囲を凍らせたりできて魔術も使えた。その現在の当主がおまえに当主になってくれないかと言って来た」
「父はジェスチャーを入れながら説明した。
「私は家督は受け継ぎません」
はっきり言う未来。
はっきり言ってお断りである。なんで自分が一三〇〇年続く家を継いで縛られなければいけない。家を継ぐのは兄である。もちろん自分の家だけでなく三〇代、四十代続く魔物ハンターの家や邪神ハンターの家柄はいくらでもあるし関係ない。それに天人とか言うがエイリアンだろうしそのエイリアンは「スーパーマン」や「ワンダーウーマン」のような能力者だったという事だけだ。
「本当に聞かん娘だ。まず聞け」
咳払いする父。
「院瀬見家の他にも五百旗頭家(いおきべ)や不知火家と長い家柄はある。三〇代、四十代続く家系に天人や天女、異世界からの異邦人から能力をもらうか、結婚して暮らしたという伝説がある。それらの家系と団結して時空のひずみや時間の穴を塞ぎ、時空侵略者を追い出さなければ地球滅亡するだろう。地球だけでなく宇宙も滅ぶだろう」
声を低める父。
「天人とか天女とか言うけど簡単に言うとスーパーマンとかスーパーガールみたいなエイリアンでしょ。他にもアイアンマンとかハルクとかドクターストレンジとかあるけど彼らはアベンジャーズというチームを組んで敵に立ち向かった。それと同じ事をやれと?」
あきれる未来。
そういうのはTフォースや国連軍の特命チームの役目である。時空侵略者が侵入したとなれば国連軍で討伐隊が結成される。
「簡単に言うとそういうことになる」
うなづく父。
「それは私の役目ではなくてTフォースや国連がやる事よ」
「しかしおまえは葛城長官の息子やオルビスとリンガムに出会った。それに米軍に追っかけられた。だから日本が中心にならないと米軍にはとてもまかせられないし、疑惑だらけだからな」
「米軍の怪しい行動は今に始まった事じゃないし巻き込まれるのはごめんだわ」
「三神隊員と出会っただろ?もう巻き込まれている」
食い下がる父。
腕を組んでにらむ未来。
「いずれは院瀬見家の当主がやってくる。その時が近いうちにやってくる。父さんの話は終わる」
ため息をつく父。
「じゃあ基地に帰る」
未来は居間を出て廊下に出る。廊下の窓から日本庭園が見えた。
佐久間家の家は五〇〇坪の敷地で山形にある。その周囲は田んぼや畑だらけである。普段は農家だが、邪神ハンターとして各地を飛び回りながら退治をするという事を代々やってきた。
廊下から見える庭園ごしの畑を見ながら歩く未来。
その窓にフッと別の女の姿が背後霊のように映った。その女は自衛官の制服を着用している。
「また出てきたのね「あしがら」。引っ込んでいてくれない」
しれっと言う未来。
この女は船魂である。どの船にもそうだが船魂が宿る。船魂はその船が起工して廃艦か撃沈されるまで存在する。
「引っ込まないけど」
どこからともなく出現する船魂「あしがら」
「戦いが近い。大きな戦いと時空異変よ。私達は融合の苦痛を繰り返しながら進化していく」
ニヤニヤ笑う「あしがら」
無視して玄関に出る未来。靴を履いて家を出た。それでも追いかけてくる「あしがら」
裏庭に行くと未来は「あしがら」の腕をつかみ足払いをかけ地面に押さえつけた。
「黙れと言っている」
怒りをぶつける未来。
「私とあんたは一心同体よ」
目を吊り上げる「あしがら」彼女はその腕を振り払い、押しのけ未来に馬乗りになる。
「嫌よ。あんたなんて消してやる」
にらむ未来。
「融合したものはしょうがないわね。一生のお付き合いになるわ」
笑みを浮かべる「あしがら」
鬼のような形相で首をつかむ未来。
「私達はずっと一緒よ」
笑いながら「あしがら」は消えて行った。
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