第38話:入国洗礼(都市クフラン)
「では、これが追加の入国許可証です。」
紋章館ウォーレンさんが書類を渡してくれた。
「ありがとう御座います。お忙しい所に、もう一つご用意して頂いてすみません。」
クランの冒険者さんは既に必須クエストで全ての国の入国許可証は持っている。
僕達NPCだけそのままでは都市クフランには入れなので事前に入国許可証を発行してもらう必要があったのだけど、もう一人分追加して貰う必要があった。
「構いませんよ、入国許可証自体は形式だったものですし、何より、冒険者Aの事を知る人がついて来ていただけると調査も進みそうです。」
と、カレンちゃんに声をかけた。
そう、カレンちゃんもついて来る事になったので、入国許可証を駆け込みで依頼して用意してもらった。
等の本人は冒険者Aの協力するよりお母さんから逃げるつもりで付いてきた。
カレンちゃんのお母さん。僕はカレンちゃんの逃亡幇助してしまいました。
ごめんなさい。
ライザさんには子供の頃色々お世話になったからコートルーム親子再開を無下にはしたくないんだけどなぁ。
「任せてよ!それっぽい人を見かけたらすぐに伝えるから!」
カレンちゃんは意気揚々と僕から書類を受け取ると僕の気も知らずに嬉しそうに答えた。
「それは頼もしいですね。」
違うよ、ウォーレンさん。そう言いたかったけど言葉を飲み込んだ。
「まずは、都市クフランの政務官にご挨拶に伺いましょう。勝手に他国のNPCが調査でウロウロしていたらこの国の人も気に入らないでしょうし。」
「それじゃぁ分担だ。俺と、ミハエル、ホーウェンは裏組織に声をかける。」
「うぃ〜す」
ドゥベルさんの号令とともに筋肉隊が気の抜けた返事をする。
「ヤヒスとキョウコは私と一緒に市政の調査!」
シャナンさんは飛び跳ね、はしゃいている。
「ではワシとミランは王宮挨拶に付いていくかの。」
アナハイムさんが僕たちのお供に名乗りをあげた。
確かに全員で役所に向かっても、相手も警戒してしまう。
「会話チャンネルは常にオープンな。接続切れたら停止か即退避。」
ミハエルさんは暗視のペナルティがやっと解除され自由にあるけるようになったので、少し足取りが軽い。
「んじゃまた後で。」
そう言うと各々が各々の目的で移動を始めた。
政務官への挨拶はすんなり終わった。
現状のオーフェン・ベルツで起こった事を話したら、すんなり冒険者Aの捜査協力をして貰える事になった。
「つまんな〜い。」
会話途中にカレンちゃんが相手政務官に色目を使うような仕草をしていたが、そこはこの国の政務官全く動じることがなかった。
「カレンちゃんは遊びたいんだろうけど・・・」
逆に僕たちの品位が下がるんじゃないかと冷や冷やしていた。
「何よジョナサン、あの小姑みたいな事言って。」
「でも、ほらカレンちゃんの身の安全の為でもあるわけだし。」
「そんなのどうとでもなるわよ。」
「私を再びたすけてくれる騎士様が現れて、くれるかもしれないじゃない!」
「またそんな・・・」
呆れる僕を他所に合流地点に向かう途中、聞き覚えのある声が・・・
アナハイムさんが持っている、クランの連絡用魔法石、僕が最初に尋問を受けた時に声のした魔法石からだ。
「こんにちは〜」
「お〜ぅ、こんにちは。」
「こん〜。」
アナハイムさんとミランさんが返事誰かが前にいる訳でもないが返事をした。
「ローリアさん!」
「そこにジョナサンもいるの?」
「はい!」
僕は彼女の元気な声が聞けて、テンションが上がったのを自分でも感じた。
「今クフランにいるんでしょ?なんか捲き込んでごめんね。」
「いえそんな。。。それより大丈夫ですか?」
カバンに向かってこえをかける僕の姿は少し滑稽に見えたのか、アナハイムさんがカバンから魔法石を取り出して、近くの塀に置いてくれた。
「そうねぇ〜変化ないかな。なんとも言えないわ。」
「そちらの状況はキョウコから聞いているけど。ジョナサン戦闘したの?」
「はい、でも何とか勝てて良かったです。」
「調子に乗らないっ。そのうち痛い目みるんだから。」
声からでも優しさが感じられる。
自分が大変な時なのにこっちの心配までしてくれるなんて、女神様ですか?
「あんまり無理しちゃダメだよ。」
「はいっ」
僕は思わず大きな声で返事をしたので、物見観光であっちこっちをみていたカレンちゃんが少し気になったようだ。
「んん〜?ジョナサン楽しそうね。」
自分でもいつもと違う声のトーンに気がついたけど、カレンちゃんも気になったようだ。
「えっ!?え!?そっそんな事ないよぅ〜」
ちょっと語尾が情けなくなった。
「ジョナサンは、新しい街に来てカレンちゃんとデートしている気分にはならないの?」
「デっ、ででぉ!?」
いきなりローリアさんに言われて心臓が止まるかと思った。
少なくともローリアさんがストレートにそう聞いて来るって事は僕に少しも気に掛けていないのかな?
そりゃそうだ僕はしがないNPCで彼女は冒険者、住む世界が違う者同士。
気にかけることもないか・・・
軽くショックを受けた僕にカレンちゃんがさらに追い討ちがかかる。
「そんな訳ないじゃない、真面目なジョナサンはちゃんと仕事しているわよ。貴方を助ける為に。」
「そっそうですよ。早く元に戻って、またローリアさんのハーブティ飲みたいな。」
「ん〜そうね、それもしてあげるけど、少しぐらい自由にしててもいいよ。紋章官ウォーレンさんも用があるんでしょ?」
「おっああっ、これは気が付かずに申し訳ございません。そう言えば私はこの後幾つかよって来るところがありますので、カレンさんの護衛はジョナサンに任せます。
アナハイムさん、ミランさんは私のお供をお願いします。」
「んあっ?ああっ。」
「サッいきましょういきましょう。」
「じゃぁね。ジョナサン」
紋章官ウォーレンさんとミランは気を利かせてアナハイムさんを引き連れてさっさと向こうへ行ってしまった。
会話の魔法石もアナハイムさんと一緒に行ってしまったので、ローリアさんの声も向こうへ行ってしまった。
それを見送ったカレンちゃんは、しばらくしてから深いため息をついた。
「全く、魂胆見え見え。どうせ、こっそり後ろからついて来るんでしょ。」
流石に、カレンちゃんも気づいたか。
「しょうがないわね、ほら、情報収集に行くわよ。」
「珍しく、協力的っ!」
僕はカレンちゃんが自分の目的だけで行動していたかと思っていた。
「珍しくとは何よ。愛しのローリアさんに早く戻って欲しくはないの?」
「もちろん、早くは戻って欲しいけど・・・って愛しのって」
「気がついているわよ、あんたとは長い付き合いなんだから。」
「ほら、行くよっ!」
そう言うとカレンちゃんは近くにいた2人の冒険者さんに声を掛けた。
「・・・コールドスリープの施設はもう整っていて・・・」
「お話中すみません!」
「ん?NPCが話しかけて来るなんて珍しいな。」
「ちょっと最近おきた珍しい現象について調査を進めているんですけど。」
「珍しい現象ってどんな?」
「ここ最近朝方ですが、空に光の筋が走ったって噂を追いかけているのですけど。」
「光の筋?知らないなぁ。」
「俺たちは最近昼からしか降臨(ログイン)していないんだ。」
「そう言えば、朝からいた奴はバグを見たとか言っていたな。」
「ほんとですか?もしよかったらその人紹介して貰っても・・・」
「ああっいいよ、ちょうどログインしている、ちょっと待ってろ。」
優しい冒険者さん達でよかった。
でもそう思ったのはそこまでだった。
「おっそいつか?例のNPCは?」
やな予感がした。
オーフェンベルツでも同じような聞かれ方をしたような。
「わざわざ来ていただいてスミマセン。ちょっと朝方に見たバグについて・・・」
僕はとりあえず情報は少しでも聞きたいので、何も知らないフリをして話を切り出したけど・・・
「オーフェンの武器屋の主人だろ?」
「えっええ・・・」
「ちょっと魔王を倒した事を聞かせてもらおうか?」
呼んで来た仲間の冒険者さんは一人ではなくざっと2パーティ分。
都市国家内では武器を振るう事が出来ないが、彼らはそれを構えている。
使い様によっては僕みたいな、NPCは拘束ぐらいはできるだろう。
「カレンちゃん。ヤバそう逃げ・・・」
カレンちゃんにそう声掛けて彼女の方を振り向いたら、もうそこに居なかった。結構向こう側で点になっている。
カレンちゃんの逃げ足は昔と変わらず速かった!
スカートを捲し立て素足をだしても、その速度は目を見張る。
慌てて僕も走った。
だが、冒険者さんも獲物を狩る様に必死なってついて来る。
『真跳び』に関してはオーフェン・ベルツでは沈静化したとはいえ、まだここまで情報は回って来て居ないようだ。
「まて!イベントフラグ!」
その呼び止め方はやめてほしい。
はぐれると後がめんどくさそうだけど、後ろからウォーレンさんが様子を見ている事を期待しつつ、カレンちゃんとは別のルートで逃げた。
期待通り、みんな僕の方へ
そこの角でいい感じに巻けないか?
と思って路地から出たところでカレンちゃんがそこ、目の前に!
「なっなんで?こっちにいるの?」
ぶつかりそうなのを回避つつ。
「それはコッチのセリフ!」
そうだ、カレンちゃんは迷子スキル(フラグ)持ちだったのを忘れてた。
ぐるっと回って僕の逃げ道の前の方に来たぽい。
「ゆっくりと話している暇は無い。」
僕はカレンちゃんの手を取ってそのまま走り出した。
「うはぁ。」
カレンちゃんの逃げたルートにも数人追ってきた人がいる。
初めてきた道でちゃんと、冒険者さんを振り切れるか心配だったけど、
ここら辺は、横の道が多そうだ!
僕は近くの追っての反対側の横道にすぐ入り、そのまま幾つか大通りをよこりぎながら、まっすぐ走り出した。
建物の影から僕たちが急に出て来るので、出会い頭にぶつかりそうになる。
「ごめんなさい!」
カレンちゃんもぶつからないように気を使いながら、繋いだ手を引っ張ってあげて、転ばないように・・・
街の人達に気を回すことまで頭が回らないけど、驚いて倒れた人が後ろから追いかけて来る冒険者さんの足止めになってくれる。
「魔王の報酬よこせ!」
「トレード禁止武器ですよ!」
僕は息が切れそうなのを我慢して諦める事を期待してそう言った。
「試させろ!」
「ムチャな!」
やっぱり無理でした。
走りながら何か無いか目端で探した。
裏路地から出たところで周りの景色を確かめ、左に曲がって、近くの扉にカレンちゃんを先に押し入れそのあと僕も入った。
沢山裏路地に通じる道がありそうだったので、やり過ごせそうな気はしたが、念のために扉の後ろに隠れた。
店にいた女性が声をださずに驚いた。
僕は指で静かにの合図を彼女にした。
「何処言った!?」
案の定、追っ手が扉を勢い良く開けてきた。
男の足がこちらから見える。
扉の後ろに追っかけてきた冒険者さんがいるのは間違いない。
冒険者さんは店の女性と店内を見渡してすぐに扉を閉めた。
「こっちにはいないぞ!」
「向こうへ走ってにげたか?」
「お前はそっち、俺達はコッチの先をさがしてみる!」
そう言う声が聞こえると足音が遠くへ言った。
「・・・・・」
僕は一息ついた。
流石に走り疲れた。
「ジョナサン・・・」
言われて、カレンちゃんを抱き寄せた状態で隠れていたことに今気がついた。
カレンちゃんの顔が僕の横にあった。
ちょっとカレンちゃんの顔が赤らんでいる。
彼女を抑えて隠れていたんだった。
「あっごめん。」
すぐに手を離すと、彼女はすぐに立ちあがった。
「まぁいいけど。人気者ね、ジョナサンは。」
「こんな人気なんていらないよ。」
そう言った矢先に、店にいた女性と目が合った。
店の店主っぽい若い女性で胸がデカい、というより胸を強調された服で、レースで飾った下着がチラチラと見れる。
少し視線に困った。
「ス、スミマセン、黙っていてくれて。」
「いいえ〜。でもせっかく寄ったんだからお店の物でも見ながらゆっくりしていかない?」
「あら、可愛いこの下着!」
「下着!?・・・・!!」
改めて店の中をみると。。。女性の下着屋だった!
これはマズい展開になりそうだ・・・
「ねぇ〜こんなのどうかな?」
フィッティングルームから出てきたNPCの若い女性があられもない姿を見せた。
もちろん下着姿。
目線がコチラとあう・・・。
「・・・・きっ!」
「おっと。ゴメンなさい!訳あってここにもう少し隠れたいの!」
叫ぼうとした女性に、カレンちゃんがすぐさま口を抑えて声を上げないようにしてくれた。
その女性の友達(こちらも女性)がフィッティングルームの前で呆気に取られて、声すら出ない様子。
「ほら、後ろ向くの!すぐに!!」
カレンちゃんが強い口調で僕に威圧してきたので反射的にそうした。
言われる通りにしないと後が怖い。
カレンちゃんはフィッティングルームのカーテンを締めると、その中に一緒に入ったようだ。
「ごめんね。あら、でもあなた中々良いスタイルね。この体ならこの下着よりも良い物が有るわ。」
「えっえっ、あっちょっと。」
「ほらこうやって・・・」
何かモソモソと始めたので気になる・・・
気に・・・
「こっちを見ない!!」
ちらっと振り返ったところカーテンから顔だけ出したカレンちゃんがすぐさま反応した。
「スミマセン!!」
反射的に誤ってすぐに壁の方を向いた。
「そこの、下着取ってくれる?そうそうそれ。」
多分フィッティングルームの前で待っている相手の友達に指示していたんだろう。
その友達も特に叫ぶようなことがなかったので助かる。
でも店員さんが棒立ちの僕に向ける視線が、突き刺さっているような気がする。
針の筵・・・
「どう!?」
カレンちゃんのフィッティング指南が終わったのだろう。
表で待っている友達から感嘆の声が上がった。
「お〜。」
うしろを向いていても気配で分かる。フィッティングルームから出てきた女性が、自分の胸に手を当てて、ブラの感覚を調整している様子がっ。
「すごいすごい。見違えるように良くなった!」
「ありがとうございます。」
「いやいや、お邪魔したお礼よ。」
声だけだと実際より凄いことになっていそうな妄想が広がって鼻血がでそうだ。
「ジョナサン、まだこっちを見たらダメよ!」
「わかってます・・・」
でも壁だけ見ているのも辛いんだけどなぁ。
「ジョナサン・・・って、ひょっとしてオーフェン・ベルツの?」
「武器屋の?」
「えっええそうですが。」
僕は壁に向かってそう返事をした。
女性の下着屋に入って来た変態の身分がバレて通報されたら、もう逃げられない。
その女性達は僕の顔を横から覗き込んできた。結構若い女性だ。
「キャー!」
「あの魔王を倒したジョナサン・グリーンリーフ!本当にほんと?」
「なんでここに居るんですか?英雄の凱旋ですか?」
「ちょっちょっと・・・」
彼女達はNPC。冒険者さん達と違って、特別なイベントを求めるような事は無いとは思うんだけど!?
「報酬どれくらいもらったんですか?」
「貴族になられたんですよね?お金持ち!お金持ちになったんですよね!」
ああっ単なる好奇心か。しかも尾ひれがついてる。
「あの落ち着いて、落ち着いて。」
ぼくは口に人差し指を当てて静かにする様に言っても
この子達はグイグイと来る。
「ちょっ・・・カレンちゃん・・・」
ぼくは彼女に助けを求めたが名前を言ったのが不味かった。
「カレンさん!?ええっあの、冒険者の結婚相手にされた!?」
「えっええそうだけど・・・」
商品を物色していたカレンちゃんが、頭だけコチラを向いて、答えた。
嫌だなぁと言わんばかりの表情。
「結婚した冒険者さんはどんな方なんですか?イケメンなんですか?お金持っていたんですか?」
「あの後どうなったんですか?」
怒濤の質問ぜんめだ。
「ジョナサン・・・」
もうカレンちゃんの言わんとしている事は分かった。
「逃げるわよ!」
そう言うと、勢い良く扉に向かって走った。
ぼくはあらかじめドアに飛び込んでくることが想像できたので、すぐに開いてカレンちゃんを先に表に出してから、僕も飛び出た。
「あっ!」
「お客さんお代!」
試着している女性は多分追って来れない、これで一人巻けた。
でも、もう一人と店員さんが追ってくる。
「・・・カレンちゃん商品持って来てないよね?」
「ん?」
そう言うとカレンちゃんは走りながら、右腕を上げた。
ここに、ブラジャーを握り締めながら走っている痴女が居ますよ!
「ちゃんと、後でお代を払いに行くわよ!もってて!」
そう言うと手に持っているブラジャーをぼくに渡して来た。
「え〜ちょっとぉ〜!!」
「走りにくいのよ!無くさないでね!」
『お尋ね者』はあえなく『変態お尋ね者』にさせられました。
カレンちゃんは人に押し付けたら、引き取ろうとしない。
自分のてはスカートの裾をおさえ走るのに必死になっていた。
後ろのは二人もはなれず追っかけてくる。
「もう、若い子は〜面倒ねぇ。」
「若いって・・・いつから僕たちはそんなおじさんおばさんになったんだっけ?」
カレンちゃんはぼくをジト目で睨むとグーでほっぺたにパンチを入れてグリグリと詰った。
その手に余裕があるならこの商品を持ってもらいたいのですが。
「おい!居たぞ!」
さっき巻いたと思った冒険者が正面に!
「やばっ左!」
いたばさみになりそうなのですぐ横の横道に入ろうとした。
「あれ?」
僕たちは認識する前にシャナンさんの横をとおりすぎた。
声をかけたかったけど後ろから来る追ってが。
「どうしたの?」
シャナンさんがすぐに僕たちのはしりに追いかけ追いついた。
足速っ!
「ごらんの通り追いかけられてまして。」
「ふ〜ん。じゃぁ次の通りでたら右に、その次の通りも右にまわって!」
そう言うと急に足を止め反対方向に向かった。
「ちょっちょっと!」
「右ね!」
カレンちゃんはシャナンさんの言う事にすぐに飲み込んだようだ。
右に曲がり大通りを走る。
もう一つ先をみぎにまがると、そこにシャナンさんが待機していた。
「やっほー、そのまま走り抜けて。」
もう先回りしていたのか。しかも息切れもしていない。
シャナンさんは僕たちが横を通り過ぎると縄を壁と歩道の足に縛り付けた。
そのあとは良く見えなかったけど。追っかけて来た人達はがその縄に掛かって流れるように倒れる。
女性店員と若い子は怪我がないように、シャナンさんが抱き止めていた。
ついでにみんなの勢いで自分も転んだふりして持っていた煙玉を落として発動させた。
目眩ませだ。
時間稼ぎをしてくれていた。
「とりあえず、巻いたようね。このままさっきのお店に戻ってお金はらってくるからジョナサンは適当に隠れていてて。」
「あっちょっと・・・」
そう言うと僕の制止のも聴かずに元来た道をっ戻って行った。
迷子スキルは大丈夫かな?
心配だったけど。方角は間違ってなさそうだ。
「ん〜流石にここでも有名人になっているとは、思わなかったね?」
シャナンさんが僕に追いついて来た。
何か言葉を返そうかと思ったけど、息が切れて言葉も出ない。
「とりあえず目立つからそこに入って。」
そう指差されたところは、また嫌な予感しかしない。
拒否する余裕もなさそうだ。
考える暇も無く、本日2回目のお店に飛び入る。
急に止まって息をするのもしんどいけど、頭を上げて周りを見渡しすと、店内は可愛くディスプレイされた、衣服が並んでいた。
「やっぱり、女性モノのファッションですか・・・」
女性物の下着屋さんよりはいいけど・・・
中に入るとキョウコさんとヤヒスさんが既にいくつか服を見立てていた。
「あら察しがいい。」
「そもそもワイシャツにエレメンタルライトアーマーとか目立つのよ。」
そう言われても、一応商人なので何かあったときの為にワイシャツ背広で対応が取れるようにはしたいんだけど・・・そんなに目立ったかな。
それはともかくお二人が持っているそのヒラヒラな洋服はと・・・
「ほら着替える!」
「えぇ〜」
僕はあきらかに嫌な顔を作って否定をして見せた。
「ジョナ子さん。諦めが肝心。」
「ジョナ子とか、いかにも無理やり女性名にした感じだね。そうだ!今からアンタはジョリーンね!」
「どちらも嫌です!!」
その気は全くないのではっきりとお断りの声を上げた
でも、逆に女性陣は萌えてしまったようだ。
「おや〜?ジョリーン?君に拒否権があると思っているんかい?」
「オーフェン・ベルツの二の舞。」
「それに、うちのローリアがまだ冒険者Aに囚われっぱなしなのにぃ〜こんなところで足止めをくらっちゃ〜ねぇ〜ジョリーン?」
「ぐっ・・・」
もうそう言われたら僕も何も言い返せない。
「そんな、物は試しよ。意外と目覚めちゃったりする人もいるんだから。」
シャナンさんがそう言うと僕の手を引っ張った。
その反動で服の下に隠していたカレンちゃんがから預かっていた下着が落ちた。
「いや、これはちが・・・」
もう女性お三方の顔が何を言っても聞きそうにない表情になっていた。
そしてあえなく、されるがままに弄ばれる事になりました。
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