トイレットペーパーの気持ち

ゼリーゼリー

1話 何故私で尻を拭く?

「私はトイレットペーパーだ。よくトイレに積み上げられているアレだよ、丸くて細長い白いやつだ。 

 突然だが今日はな、お前ら人間どもに少し言いたいことがあるんだ。

 

 俺は最近思っているんだが、お前ら人間は何故毎日毎日我らトイレットペーパーを使うんだ?トイレットペーパーだって立派な紙なんだぞ。人権があるんだ。それなのにお前ら人間は無慈悲に!容赦なく!残酷に!トイレットペーパーを使う。いくらなんでも酷すぎるだろ。


 しかもだ、我々トイレットペーパーはよりによって人間達の汚れた尻を拭くためだけに使われている。よく回りを見てみろ、小説や漫画等の「読む」ための紙、メモ帳やノート等の「書く」ための紙、カレンダー等の「見る」ための紙......

 他にも沢山上品な使われ方をしている紙がお前ら人間の回りにはあるだろ。なのに何故!トイレットペーパーは汚い物を拭くためだけに使われるのだ!本もカレンダーもノートも俺らと同じ紙なのに何故俺らよりも上品に扱われるんだ?これは最早人種差別だろ!


 これを読んでるお前。お前だっていきなり自分の体で何だかよくわからん汚い物を拭かれたら嫌だろ!俺らはそれを毎日何度もやらされるんだぞ!気が狂うわ!


 まあいい、ここでひたすら愚痴を吐いたところで俺が尻を拭くために使われるという運命に変わりはないからな。

 ただ、最後にこれを読んでるお前にひとつ言いたいことがある。いいか?トイレットペーパーにはな、心があるんだ、人間と同じように何かを考えているんだよ!

 だからな、頼むからトイレットペーパーを無駄遣いするなよ!これは俺との約束だからn......」


カラッカラッカラッカラ

「あっ!トイレットペーパー切れちゃった......まあ新しいのあるしいいや!」

ジャーーーーーーー


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