20xx年12月27日

 中間テストの成績が良かったので、調子にのってそのペンを使い続けていたんです。勉強の時もメモを取る時もずっとそのペンをつかっていたんです。そして期末テストの2週間くらい前ころから少しずつ違和感を感じるようにったんです。


 なんだか、私が知らないことを書いているんです。


 知らない漢字や英単語が書けたり、読んでいない小説の感想文とか、行ったことがない外国の様子なんかあげればキリがありません。

 そして私はやっと気がついたんです。


 ペンに書かされている。

 

 それからそのペンを使うのが怖くなってきて、他の筆記用具を使うようにしていたんです。しばらくはそれで良かったんですけど、ちゃんとやってなかったので勉強ができません。問題集も全然解けません。中間テストが良かっただけに期末テストのことを考えるととても憂鬱な気分です。

 そして私はペンケースからもう一度〝ペン〟を取り出して使ったんです。そして期末試験は主要5教科で500点満点とったんです。先生もクラスメートも褒めてくれます。だけど私はちっとも嬉しくありません。ズルして、カンニングした成績だから辛いだけです。

『頭いいんだね』と言われるたびに気が塞ぎます。『スゴイね』と言われるたびに申し訳ない気持ちになります。

 家に帰った私は、部屋に閉じこもって中間と期末のテストの答案用紙を細かく刻んで捨てたんです。もう見たくなかったんです。そして、夏休みの間に勉強をして2学期からは普通の女子として学校に通えるように


 もう、普通の女の子に戻れませんよ。ちゃんとお役目を果たしてもらわないと。


 どうしてここまで来ちゃうの? いい加減に私の中からいなくなってよ。


 ちゃんとお役目を果たしてくだされば何も問題ありませんよ。


 お告げとか、神託とか、私には無理よ。もう帰ってよ。

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