キミと紡ぐ【複数ジャンル編】

Motoki

虹の向こうに【詩】


「虹の根元には、宝物があるんだって」



君がそう言ったのは、

いくつの時だったろう。



「もっと大きくなって、バスに乗れるようになったら、2人でたしかめに行こうよ」



夕立の後そう言って、

焼けた顔に白い歯を覗かせた。



指差す先には、

大きな虹。



濡れた朝顔の葉と、


夕焼けと、


君の笑顔。



全てが眩しかったのを、

憶えている。



大きくなって。

社会人になって。



こうしてバスにも乗っているのに、

約束は果たせぬまま。



「虹なんて、最近出ないよ」



窓際に座り、

呟きながら喪服のネクタイを緩めた。



君は今頃、

煙となって。

あの空を昇っている事だろう。



青い空には、

大きな太陽。



それを見上げて、

僕は感嘆の声をあげる。



太陽を囲んでいるのは、

大きな丸い虹。



「根元なんて、ないじゃん」



笑いながらそう言って、

知らず、

涙が零れていた。



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