第22話:可愛い移住者

 その後、加藤一郎が、この文面のコピーを3つ取り、各人で保管しておくように

と言い、明日、加藤末吉に、遺言通り、加藤吉宗さんの口座から、村役場の口座に

入金して欲しいと言った。末吉は、了解したと言い、加藤吉宗さんの実印を借りて

いった。


 一郎が続けて、この話は、本来なら、一族全員の前で話すべきかも知れないが、

それをして、亡き吉宗さんの意に反して、相続争いが起きるかも知れないので、内緒

にしておいた方が、吉宗さんの希望が叶うと話すと、3人とも、その意見に同意した。話を終えて、お茶を飲んで、一郎が投資したのをみて、同じようにして、金を増やしたんだ、たいしたもんだなと、一郎がつぶやいた。


 投資の時、加藤吉宗さん、末吉、重野副村長には、知らせていたと思いだした。

 この寄付金は、今後、村のために活用させてもらうと、加藤一郎村長が、にこやか

に語った。2011年1月20日に、重野副村長に加藤吉宗さんから10億円の

寄付があった事を話すと、それは、ありがたいと言い、これで村の資産が14億円

から24億円になり、大きな事業に使えると喜んだ。


 その後、2011年3月にヤフー・ジャパンに勤めている、加藤末吉の長女、宮下

美代子が旦那さんの宮下順一さんと4歳の宮下明美ちゃんと2歳で双子のの宮下達郎

くんと、宮下健三の3人の子供と自宅勤務を申請して、村の家で生活したいと連絡が

入った。葬式後、加藤吉宗の家のタネさんを加藤末吉の家で引き取り、一緒に、

住んで面倒を見る事にした。そこで、宮下家の5人で、誰も住まなくなった、亡き

加藤吉宗さんの新しい大きな5LDKの一軒家に住む事になった。


 村の保育園に送迎付きで費用は無料と恵まれて、家賃もなしで自然に囲まれた環境

で仕事をしながら子育て出来ると言う恵まれた環境になったと大喜びした。祖父母の

家も直ぐ近くで、宮下夫婦がヤフーの会社に出勤するときは、祖父母にお願いして

見てもらえた。タネさんも加藤末吉夫妻も、この可愛い訪問者達を可愛がって、

少し疲れたが、喜んで面倒をみた。


 この素敵な環境を宮下一家の山の中の生活として、インターネットのブログに

書くと、かなりの読者がついて、数万人のヒット回数で良いアルバイトになった

様だ。そして、この村にとっては、良い宣伝になっていた。2年前から、都心から

山中湖よりも1時間も近い、テニスコートのある村として、山間地を整地して、

テニスコートを24面も整備して平日1時間2千円、土日4千円で貸し出すと、

多くのテニス愛好家が来る様になった。更に、村のマイクロバスで駅までの送迎付きで温泉宿に泊まるテニス合宿のパックツアーを企画すると、土日は24面が全部、埋まる日が増えてきた。これは、村にとっては大きな収入源となった。


 テニスコート24面が2011年3月に完成した。4月はの土日祭日は、ほぼ予約

で埋まった。5月の平日に、加藤末吉と仲間達がナイター設備をつけて、夜10時

までテニスコートを使える様にした。この費用が2億円かかり、村の資産が22億円

となった。


2011年から、テニスコートの回りを整地して、1周800mのグランドを作り、

練習場を近くの中学、高校生に解放した。すると、高校総体の練習や実業団の合宿も

行われるようになった。この年もテニスコートも土日はいっぱいになり、村の収入も

着実に増えていった。その他、流通センターの社員寮の家賃は、既に、村の収入に

なって来た。

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